【SS】また、星煌めいて

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    • 1 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      ──あれは、高校3年生の頃だった。
      私達ポピパは5人で同じ大学に進学する予定だったし、それに向けて勉強していた。
      ライブだって順調で、人気もうなぎのぼり。
      私は人生の絶頂期に居るのだと思った。
      実際、この頃が今でも1番幸せだと思う。

      ──それは突然にやってきた。
      センター試験も一通り終わり、あとは結果を待つだけの冬頃の早朝。

      「ばあちゃーん、おはよー」

      (あれ? ばあちゃんの反応がないぞ?)

      この時点で既に、怪しかった。
      いくら呼び掛けても、帰ってくるのは酷く苦しい沈黙のみ。
      私はそれに耐えきれず、居間にまで足を運ぶ。

      「ばあちゃ……っ!」

      固まってしまった。
      目の前がホワイトアウトして、気付いたら地面にへたり込んでしまった。

      ──ばあちゃんは、死んだのだ。
      畳の上に倒れ伏して、苦しそうな顔をしていた。
      後から判明したのだが、死因は突然死らしい。

    • 2 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      「あっ……」

      ばあちゃんは微動だにしない。
      私は本能的に立ち上がり、ばあちゃんに近づいて身体を揺らす。
      それは義務的なもので、生きてるとはハナから思ってなかった。

      「ばあちゃん……ばあちゃん……」

      揺らしても、揺らしても、反応は無くて。
      冷たいしわくちゃの死体を何分かほど揺らしていた。

      「あーりーさー! おっこしにきたよーっ!」

      「はっ……!」

      そんな時、香澄はよく通る能天気な声で私の名前を呼んだ。
      訳が分からなくて。脳が真っ白で。
      ばあちゃんの死体に手を置いたまま、顔だけ扉の方を振り返る。

      「有咲ー? 寝てるのー? ……起こしにいこっ」

      騒がしい足音が寂しい廊下に響く。

    • 3 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      何分経っただろうか。
      やがて、香澄の足音はこちらに近づく。

      「有咲ー! もー起きてたのー? ……あっ」

      「はっ……」

      「あ、有咲……そ、それ、有咲のおばあちゃん……」

      香澄が一瞬にして喜から驚に表情を変え、たどたどしい足音を居間に響かせて私とばあちゃんのところに近づく。
      やがて私と一緒に座った香澄は、私と同じようにばあちゃんの死体に手を置く。

      「あ……え……」

      「……」

      これまた数十分が経ったのではないか。
      香澄と私はずっとばあちゃんの死体を眺めていた。

      ──その後の事はよく覚えていないが、香澄を追いかけて私の家に来たおたえが警察を呼んだらしい。
      葬儀、火葬……私は参加出来なかった。
      ショックでずっと居間に篭っていたから。
      勿論トイレは行ったけど、風呂も入らず、ご飯も食べず、極限まで眠らずに居た。

    • 4 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      ──そこからはもう、働けるはずもなく。
      精神障害になった私は、手帳を貰って生活保護者としてニートになった。
      まさか、ばあちゃんが死んだ程度でここまで落ちぶれるとは。
      私にとってばあちゃんは、唯一の肉親だったし、1番大切な存在だった。
      一時はばあちゃんの後追いをしようとしたけど、それは香澄達に止められた。
      私は香澄達4人に今日まで生かされている。

      ここは、私の部屋。とても暗くて、ジメジメしてる私の根城。
      私は香澄と出会う前の引きこもり生活に逆戻りしてしまったのだ。
      アニメを見て、ゲームをして、電子書籍の漫画やラノベを読んで、二次創作を漁って。
      不健康極まりない飯を食べて、怠惰に生きてた。

    • 5 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      今年で何歳なのだろうか。
      ええっと、私は2001年10月27日生まれだから……今年で20歳か。いやまだ19歳か?
      まあいい、そんな事は。

      「さてと、今日は○○ってアニメがやるな」

      某動画サイトで、摂取するように30分アニメを見る。
      ありきたりでつまらない青春萌えアニメを。
      そして、色々やって朝6〜7時には寝る。今は昼夜逆転のターンだ。

    • 6 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      ──気付いたら、昼過ぎてた。
      それもいつもの事だ。今日は適当にギャルゲでもするか。

      「あーりーさー!」

      ……少し大人になった、香澄の声が聞こえる。
      やがてドアは開け放たれ、香澄は弾むような足音で私に近寄る。

      「元気してたー?」

      「……あぁ」

      「電気付けていい?」

      「好きにしろ」

      私がそういうと、香澄は歩いて電気をつけてまたこちらに戻る。
      こうやって定期的に私の元へ訪れてくれるのは、香澄だけだ。
      大学も忙しいだろうに、いつも隙間時間を使って私のところに訪問してくれる香澄にはありがたみを感じるが、同時に鬱陶しくも思える。

      「有咲部屋きたなーい!」

      「……お、お前は不定期に来るから片付けらんねーんだよ」

      私の生活は堕落していた。
      私の腹も贅肉をつけていて、醜い。

    • 7 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      「……ねぇ、まだ外に出られない?」

      「……」

      香澄は私の隣に座り、私の肩に手を置いて問う。
      正直に言えば、外出出来ないわけではない。
      精神も思ったより早く回復していたし、今はもう普通に動ける。
      少なくとも、死んだように生きていたあの頃よりは。

      「……ごめんね。急かすような事言って。有咲には有咲のペースがあるのに」

      「そんな事、別に気にしなくていいぞ。大体、お前も自分の生活があるのに私に構って大丈夫か?」

      「うん!」

      「……全く、やれやれだ」

      「あ! そうだ! 今日はね、有咲も交えて同窓会でもしようと思ってるんだーっ!」

      「…………!? そ、それ本気か!?」

      今、香澄から耳を疑うような単語が出てきた。
      思わず私は勢いよく振り返って香澄の両肩を掴み、身体を揺らしながら問いかける。
      香澄は親指を立てながら、笑顔を見せる。

    • 8 名前:匿名スタッフさん ID:jM2YyYjg[] 返信

      「本気だよ! 有咲を連れてくるってみんなにも行っちゃたし! 場所はCiRCLEのカフェね!」

      「わ、分かったわかった……行けばいいんだろ? 行けば」

      「うん!」

      この屈託のない笑顔が私を狂わせる。
      それから、私は重い腰を上げて香澄と服を選んだ。
      幸い、通販サイトで購入した今の体型に合う服があったのでそれを着ることにした。

      「……ところで有咲、お風呂は入らないの?」

      「……あっ!」

      風呂か。
      そんなもの、3ヶ月に1度入るか入らないかぐらいのものだ。
      おかげで風呂も汚くて臭い。
      だが、入るしかない。臭ったまま来たら、4人は相当ストレスが溜まるだろう。
      そうして私は風呂に入った。
      風呂場にはコバエが湧いてたし、直視するのが憚られるほどに汚くて臭かったが、我慢してシャワーをそそくさと浴びて出て、着替える。

    • 9 名前:匿名スタッフさん ID:zOTdkNDk[] 返信

      「お風呂入ったんだね! その服、似合ってるよ!」

      「……あんがとさん」

      香澄が早速洗面所まで駆けつけて笑顔でそう言った。
      似合ってる、か……。
      深緑色の無地のゆったりした地味な服が似合ってるか。
      確かに盆栽みたいだな。
      ……そういえば、もう盆栽も2年近くいじってない。きっと酷い姿になっているだろう。

      「歯は磨かないのっ?」

      「……あっ」

      そう言えば歯磨きも忘れていた。
      今、口を手で押さえて息を吐くと……臭い。私はこんな口臭でアイツと会話していたのか。
      取り敢えず2年前使っていた歯ブラシで歯を磨き、口を濯いで香澄の元へゆく。

      「マスク着用!」

      「……そういや、コロナまだ流行ってるんだっけ?」

      香澄に手渡されたマスクを、私は着用する。
      新型コロナウイルス流行はネット上で知った。
      幸い、私は引きこもりなので未だに感染することも無かった。

    • 10 名前:匿名スタッフさん ID:zOTdkNDk[] 返信

      「いや〜、マスク着用って大変だよね〜」

      「そうだな。夏でもマスクしなきゃいけないんだろ?」

      「それもあるけど色々とホント窮屈だなーって感じる〜! 今ポピパがあったら『ライブ出来なくてやだー!』とか愚痴ってただろうねー!」

      「ははは……」

      今は香澄と一緒に外へ出て、CiRCLEに向かっている。
      ポピパは私の精神異常で解散し、私除く4人は大学に合格して今も通ってるそう。
      香澄のトレードマークだった猫耳に見える星型の髪は、今はもう見る影もない。
      香澄以外の3人には2年も合っていない。
      ……それにしても初めて外に出たな。日光が眩しすぎてウンザリだ。

      「今、楽しいか?」

      「うん!」

      この笑顔、本当か嘘なのか今の私には見分けられる自信がない。
      ポピパの無くなった今の香澄は、何を楽しみに生きているのだろうか?
      やっぱ、おたえ・りみ・沙綾の3人と仲良くする事だろうか? ライブスタジオでガールズバンドのライブを見ることだろうか?

    • 11 名前:匿名スタッフさん ID:lNmRjN2E[] 返信

      早く続きを読みたいような、でもちょっと怖いような感じ

    • 12 名前:匿名スタッフさん ID:zOTdkNDk[] 返信

      そんなこんなで、私と香澄はCiRCLEのカフェに着いた。

      「あ! 有咲だ〜。おはよ〜」

      「もう昼過ぎてるけどな」

      「やっとお外出られるようになったんだね〜」

      「もう2年ぐらい経ってるからな」

      「……」

      「これでみんな揃ったねー! 私、飲み物買ってくるー!」

      「気をつけてな」

      私は用意された空席に座る。
      この3人と会うのは本当に久しぶりで、とても気まずい。
      おたえは相変わらず美人で、背も伸びて大人びている。
      りみは髪がセミロングになっていて、ピンク系統の可愛い服を着ている。
      沙綾はルーズサイドテールでゆったりしたロング丈のワンピース。
      香澄は黒のトップスにアイボリーのジーンズで、ロングヘア。
      私は……香澄やおたえより長い髪で、4人と違って太ってて豚だ。背も2年前と変わらん。

      ──私だけ、置き去りにされてしまったのだ。

    • 13 名前:匿名スタッフさん ID:xMDNjNjk[] 返信

      さあ有咲どうなる



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返信先: 【SS】また、星煌めいて

本トピックは、最後の返信がついた日から 14 日後にクローズされます。


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