【SS】ましろ「初めて情熱的に揺れるような恋情を体験した」

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94件の返信スレッドを表示中
    • 1 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「…はぁ?なんだそれ。」

      「えっと…つまり『恋をした』と言うこと?」

      「う、うん…。」

      「あ〜だから最近しろちゃんが書いた歌詞はロマンチックな恋を描いたものだったんだね〜。」

      「…どんな人なの?」

      「ふえっ…!?えっと…それを言うのは…ちょっと恥ずかしいって言うか…。」

      「えーいいじゃねーかよぉー!アタシ、気になるなー!」

      「広町も気になりま〜す。」

      「言いたくないなら無理に言わなくても良いと思うよ。」

      「…まあ、私は別にどうでも良いけれど。」

      「ええっ!?」



    • 2 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (えっと……どうしよう。あぅぅ、さっきの瑠唯さんの言葉、地味に傷つくなぁ〜。)

      「えーアタシはどーしても聞きたいなー!」

      「……しろちゃんがどうしても言いたくないなら、広町もこれ以上要求する気にはなれないな〜。」

      「はぁ!?七深までそんなこと言うのか!?……あーよし!こうしよう!」

      「アタシとしろでジャンケンして、しろが勝ったらしろが好きな男の事言わなくてもいい。」

      「…負けたら、ましろちゃんが好きな人の事を言う…と?」

      「そそ。んじゃしろ、ジャンケンするぞー。逃げんのはなしな?」

      「えぇっ!?」

      「最初はグー!じゃんけんポンッ!」

      「ひっ!」

      「…ましろちゃんがグーで透子ちゃんがパー。ましろちゃんの負けだね。」

      「勝負に負けた以上、しろちゃんには恋する男の人とその人との馴れ初めを広町達に話す義務がありま〜す。」

      「ふぇっ…わ、分かったよ…。」

      (瑠唯さん、こっち見ないで本を読んでる…。本当にどうでも良いんだ、私の話…。)

      「ましろちゃん?」

      「…あ、あぁ!考え事してただけ!」

      「考え事とか良いからさっさと言ってくんねー?」

      「あ、あぁはい!」

      「だいじょ〜ぶだいじょ〜ぶ。しろちゃんのペースで良いからね〜。」

      (七深ちゃん…!)

      「え、えっと…あれは日曜日にモニカの5人でCiRCLEに行った時なんだけど…。」



    • 3 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -日曜日 CiRCLEのライブ会場-

      (うぅ…。みんなどこに居るんだろう…。こんな人混みじゃ見つけるのも一苦労だよ〜…。)

      (はぁ、こんな事なら用事があるって嘘ついてパスパレのCiRCLEライブに行くなんて事をしなきゃ良かった…。)

      (アイドルのライブだからか、いつもより人が多くて吐きそう…。)

      (もうやだ…、帰りたいよぉぉ…!)

      「ひっぐ…っ!うぅぅっ!ーーーっ!」

      「…君、どうしたんだ?大丈夫かい?」

      「む゛りぃ!ごんなひどごみのながっ…っはぁ…なんでっ…!」

      「取り敢えずまずは私と一緒にここを抜け出そう。」

      「っうぇ…?」

      「さ、私の手を掴んで。」

      「は、はい…。」

      「このまま一気に抜け出すから、決して私の手を離さないでくれ。」

      「はいっ…!」

      (っ…!?こ、この…凄くイケメン。カッコいい///)



    • 4 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (背も高いし、イケメンだし、スタイル良いし…。)

      (何より、凄く優しい…♡)

      (男の人、苦手だけど…。)

      (この人は凄く好き…♡こんな恋、初めて…!)

      -CiRCLEのまりなさんがいつもいる所-

      「っはぁ…!っはぁ…!つ、疲れた…。」

      「…。可愛い顔が涙でぐちゃぐちゃじゃないか。ポケットティッシュあげるから、これで顔でも拭いてくれ。」

      「…っ♡は、はいっ…!」

      (うわぁ凄い…。気遣いも出来るなんて…♡)

      (しかもこのポケットティッシュ、凄く肌触りが良い…!お金持ちなのかな…。)

      (こんな王子様みたいな人がこの世の中に居るなんて…♡)

      「落ち着いたかい?」

      「は、はいっ…!あ、あの…ポケットティッシュ…後日同じの買って返します…。」

      「…いやそれは君のもので良いよ。」

      「ふえっ!?い、良いんですか…?」

      「ああ。…それより、君はどうして泣いていたんだい?」

      「えっ…えっと…。じ、実は友達とはぐれてしまって…。私、一人になっちゃって…!」

      (ヤバいまた泣きそう…。)

      「そうか…。でも心配ないよ。もうすぐライブが終わるから、その時に君の友達はここに戻ってくるだろう。その時まで私は君のそばにいるよ。」

      「ひぇっ!?あ、ありがとう…ございます…///」

      (ほわぁぁぁ〜!?こ、ここんな素敵な男の人と…2人きり…!ヤバイよぉ〜♡ライブ来てよかった…!)



    • 5 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (そ、それにしても凄く緊張する…!こんなイケメンと2人で居られるなんて事、今まで無かったから心臓がすごくバクバク言ってる…っ!)

      「…君、名前はなんて言うんだい?」

      「!?…え、えっと……。」

      (名前聞かれるとかヤバぁぁぁぁ〜♡こ、こここここれはもしかして本当に付き合えたりとか…するっ!?)

      「く、倉田…ましろ…ですっ。」

      「ましろちゃんか。覚えておくよ。」

      「…っ///!?」

      (あ、あなたたま撫でてくくれるなんてぇぇ〜!?頭がオーバーヒートしちゃぅぅぅ…♡」

      「…あ、しろ!お前こんなとこに居たのか〜!」

      「……えっ!?と、透子ちゃんんんんっ!?」

      「ましろちゃん、顔赤いけど大丈夫?」

      「しろちゃんったら本当におっちょこちょいなんだから〜。……もしかして、泣いてた?」

      「…ぁ。」

      「次は私達とははぐれないように。」

      「う、うん…ごめんね。」

      「……っあれ!?さっきいた男の人は!?」

      「…?男の人…?居ないけど…。」

      「ええぇ〜。」

      「んなことより、メシ食おうぜメシ!カフェは混んでるからアタシの奢りでイタリアンに連れてってやるよ!」

      「おっ!イタリアンいいねぇ〜。ちなみにどこ?」

      「『アマバム』ってとこ。結構旨いんだぜ〜?」

      「…早く行きましょう。あまり長居してるとアマバムも混むわ。」

      「そうだね!さ、いこ!」

      (うぅ…。いつの間にか居なくなるなんて卑怯だよぉ〜。…でも、好き♡)



    • 6 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「…って、あの日かよ。」

      「あの日、しろちゃん『男の人』って言ってたね。その『男の人』に恋したってことでお〜け〜?」

      「…うん///」

      「その男の人は、どんな人なの?」

      「え、えっと…。背が高くて、イケメンで、ポニーテールで、スタイル良くて、お金持ちで、優しかったの…♡」

      (オイオイしろがやたらと早口になってる上に目がトロンとしてるぞ…。こりゃマジ惚れか?)

      (あれ、その人ってまさか…?)

      「へ、へぇ〜…そんな王子様みたいな人、本当に居るんだ…。」

      「あ、えっとしろちゃん…。その人の事私知ってるんだけど…。」

      「…えっ!?なんで!?」

      「背が高くて、イケメンで、ポニーテールで、スタイル良くて、お金持ちで、優しい王子様みたいなやつ…?……あっ!」

      「え、透子ちゃんも知ってるの!?誰!?教えて!!」

      「私の記憶が正しければ、その人は『ハロー、ハッピーワールド!』のギターの瀬田薫さんだと思うんだよ〜。」

      「同感。アタシも薫さんだと思う。」

      「はろー…はっぴー…わーるどの…ギター………。」

      (誰だ?誰なの?えっと………。)

      「あっ!あの人か!…ましろちゃん、ましろちゃんが恋した人はーーーーー」

      「あっ!思い出した!あの人だ!!」

      「っ!?び、ビックリしたぁ〜。急に大声出さないでよ〜。」

      「まあ、あの人切れ長でカッコいい顔してっから、しろが男だと勘違いするのも無理ねえな〜。」

      「ファンも多いし、中にはしろちゃんみたくガチ恋してる人も居るだろうね〜。」

      「わ、私も薫さんの事最初は男だと思ってた…。だ、だからましろちゃんは同性愛者じゃないよ!」

      「ふぇっ!?…ああ、あぁぁ…。あの人、お、女…なんだ…。」



    • 7 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (お、おおおおおおおおんなぁぁっ!?…嘘だ嘘だ嘘ダウソダウソだ…!)

      (お、女だったら私ただの恥ずかしいやつじゃん…!)

      (てかあの人だったんだ…!私、あの人見た時『ないなぁ〜』とか思ってたのに!!なんでマジ惚れしちゃったんだぁぁぁ〜!!みんなに見せたあの歌詞、取り消したい…っ!)

      「しろちゃんが頭抱えてしゃがんで耳真っ赤にしてる〜。」

      「なーんだ薫さんかよ。そりゃしろ、叶わない恋をしちまったなw」

      「ちょ、透子ちゃん笑うなんて失礼だよ!」

      「いやーすまん。まさか薫さんだとは思わなくて…w」

      「し、しろちゃ〜ん…。大丈夫〜?」

      「っはー!恥ずかしい…っ!私、本当に恥ずかしい…っ!」

      「朝も昼も夜も寝る前も授業中もバンド練習してる時もトイレの時もお風呂の時も食事中もずーっと薫さんの事考えてた!しかも一度見た時は『この人は好みじゃないな〜』とか思ってた!なのに!!なのに!!!」

      「ま、ましろちゃん落ち着いて…!」

      「んま、アウトオブ眼中なやつにマジ惚れなんてよくあるしそんな気にすることじゃなくね?それに、しろが見せてくれた歌詞、チョーイカしてんじゃん☆」

      「アウトオブ眼中とかふる〜い。」

      「歌詞がを褒めてくれるのは、あ、ありがたいけど…!でもでも私はじゃあ女の人に惚れながら夢見心地で歌詞をウキウキで書いてたヤバいやつじゃん…?」

      「や、ヤバいやつじゃないよ…!思春期なら誰にだってあることだし!気にしなくて良いよ!」



    • 8 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「と、取り敢えず今日はもう帰る…っ!」

      「あっ!…い、行っちゃった…。」

      「ふーー!もう空も暗いし、アタシらも帰るか!じゃあなふーすけ、七深、ルイ!」

      「ばいば〜い。…さてと、広町も帰りますか〜。」

      「わ、私も帰る…。」

      「じゃあ、一緒に帰る〜?」

      「う、うん…!瑠唯さんも一緒に…!ってあれ?」

      「もう先に帰っちゃったみたいだね〜。」

      「……。」



    • 9 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「っはぁ…!っはぁ…!っはぁ…!」

      (や、ヤバい…。衝動的に走りまくったせいか、ここがどこだか全っ然わかんない…!どうしよぅ…。)

      (もう外は暗いし…本当にここどこなのっ?)

      (す、スマホで調べれば………。…っ!?)

      「スマホ…無い…。」

      (終わった…。)

      (きっとスクールバッグごと学校に置いてきたんだ…。その中にスマホも入ってるし…。大体、もう学校は閉まってる…。)

      (つまり私は…終わった。)

      ジョボボボボボ

      (あーあ、おしっこも漏らしちゃった…。スカートも汚れたし、このまま家に帰ったら間違いなく怒られる…。)

      (もう、野垂れしぬしかないんだ…。)

      (誰も私を助けてくれない。誰も私を見てくれない。誰も私に声をかけてくれない。私はここで死ぬ運命だったんだ。)

      (いっそホームレスになろっか。そしたら家にも学校にも行かなくて済む。)

      (もうこんな姿じゃお嫁にいけない…。薫さんにも会えない。いや、薫さんは女だけど…。えっと…。)

      「なんで貴女まで迎えに来るのよ。花音だけでいいのに。」

      「ふえぇ〜、そんな事言っちゃダメだよ千聖ちゃん。」

      「良いじゃないか。今夜は私と花音と3人でお泊まり会なんだろう?なら私もついてくるのが当然。」

      「私の家で待ってても良かったのよ?」

      「で、でもこんな夜遅くだと私と千聖ちゃんだけだと不安だから…薫さんが居てくれて助かるかなぁ〜。」

      (………あっ。あの人もしかして…。)

      (間違いない…!か、薫さんだ…っ。)



    • 10 名前:匿名スタッフさん ID:5YTJjMzU[] 返信

      ??「なんやて倉田!薫様に恋するのが恥ずかしいみたいなのやめえ!!!」



    • 11 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (で、でもダメだ…。)

      (こんな私は相応しくない。それに、友達と楽しそうにしてる薫さんに声をかけたら雰囲気も悪くなるし流石に優しい薫さんでも不機嫌になる…。)

      (というか、もう他人を巻き込んじゃダメなんだ…。私一人でしねばいい。私の事は私で片付けなきゃ。)

      (………でも、ここで声をかけてくれたらいいのになぁ。)

      (いやダメダメ!私みたいなゴミが薫さんに声をかけてもらうなんて烏滸がましい!)

      「ましろちゃん。」

      「………へっ!?」

      (幻聴…かな。しぬまえに薫さんが私を励ましてくれたんだ…。)

      「顔を上げて。」

      (え、えへへへへ…。げ、幻聴でもいいや…っ。)

      「君を迎えに来たよ。」

      「………っ!?」

      (え、か、薫さんだ…。本物だ…。嘘…嘘っ!?)

      「薫、また女の子引っ掛けてるの?ダメよそういう事は。」

      「え、えっと…ましろちゃんだっけ?こんなところで1人でへたりこんで、どうしたの?」

      「やだちょっとアンモニアくさい…!」

      「あっ、ひえっと、す、すみません臭くて…!」

      「…もう夜も遅いし、私たちのお泊まり会に参加するかい?」

      「…ふぇっ?え、え…?さ、参加資格あるんですか?私に…?」



    • 12 名前:匿名スタッフさん ID:jMWU0NWV[] 返信

      アンモニア臭いwww おい白鷺!w

      あと恋に落ちて夢心地のましろがましろらしくて好き



    • 13 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「あぁ、もちろんさ。私の手を掴んで。」

      「は、はい…!」

      (あぁ…これ、日曜のあの時と同じ…。やっぱり王子様みたいにカッコいい…♡女の人なのは分かってるのに、また好きになっちゃう…!)

      「んっしょ。……と、というか…。なんで薫さんは、私を見つけられたんですか…?」

      「こんな夜遅くに1人寂しそうに蹲ってる顔見知りがいてね。放っておけなかったんだ。」

      「んもぅ、薫はいつもそうね。」

      「…ましろちゃん、着替えはあるから安心してね。」

      「…はぁ。じゃあましろちゃん、貴女もお泊まり会に今夜限りで参加してもいいわよ。」

      「あ、ありがとうございます…!」



    • 14 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -白鷺家-

      「お母さん、ただいま。」

      千聖ママ「おかえり。随分と遅かったわね。…その子は誰?あとなんかおしっこ臭くないかしら?」

      「…っ!」

      「えっと、この子はましろちゃんって言うんです。えっと…。」

      「夜遅くに一人で蹲っていたから私が声をかけて一夜限りでお泊まり会へ招きました。」

      千聖ママ「あらそう…。取り敢えず、ましろちゃんとやら、まずはお風呂に入って。」

      「は、はい…分かりました。」

      「この子の制服のスカート、おしっこで濡れてるからクリーニングに出しておいてくれない?」

      千聖ママ「今から!?…まあ、良いけれど。」

      「着替えは私が用意するね。お風呂も私が案内してあげる。」

      「あ、ありがとうございます…。」

      「取り敢えず靴を脱いで玄関にあがろうじゃないか。」

      「そうね。…スリッパは履いてよね、ましろちゃん。」

      「は、はいっ!」

      (凄い…千聖?さんって人の家…かなり広くて綺麗…!つくしちゃんの家ぐらいお金持ちなのかな?)

      「ましろちゃん、私についてきて。」

      「は、はい…!」



    • 15 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (ほ、本当に廊下も広いし綺麗…!)

      「なんでましろちゃんは、あそこで1人蹲ってたの?」

      「ひゃいっ!?…あ、えっと…。スマホとか…スクールバックとか…全部学校に、置いてきちゃって…。それでもう…どうしようも無くなって…。」

      「学校閉まってるからもう取りに行けないし…家に帰ったら怒られそうだし…それでもう野垂れしのうかな…って。」

      「そっかぁ…。」

      (あ、嫌われた…。というよりも、呆れられた…?そりゃそうだよね。今思えばスマホ無くても家に帰れば良かったし、なんでわざわざあそこで蹲ってたんだろう…。千聖さんにも、花音?さんにも迷惑かけたし…。)

      (何より、薫さんの友達との楽しい時間を…私がぶち壊したんだ…っ。)

      (薫さんが本当に男だったら、私なんてとても最低すぎて顔すら見たくなくなってただろうね…。)

      「はい、ここがお風呂だよ。」

      「…っ!あ、ありがとうございます…。私の事嫌いなのに、わざわざ案内してくれて…。」

      「…?別に私、ましろちゃんの事嫌いじゃないよ?」

      「えっ!?」



    • 16 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「…私はましろちゃんの着替えを持ってくるから、お風呂入っていいよ。」

      「は、はい…。」

      -風呂-

      (私、本当に馬鹿だ…!勘違い女だ…!なんであんな事口走ったんだろう…!相手の善意を疑って、バッカみたい…!)

      (私また嫌われた…!やっぱりダメなんだよね、私は。ウジウジしてて何も取り柄なくて妄想激しいし…花音さんも絶対軽蔑してた!)

      (花音さんは優しそうだったし、そういうの表に出さないタイプっぽかったけど…私には分かる。あれ、絶対私の事嫌ってた…!)

      (ごめんなさい花音さん!本当にごめんなさい!)

      (私の事はいくらでも殴っていいです…!)

      「…どっちがシャンプーで、どっちがリンスなんだろう…。」

      (このボトル、どっちも白いからよく分からない…。というか、お金持ちの家のシャンプーとリンスって高級感凄いよね…。)

      (えっと……こ、こっちがシャンプーか。)

      —————

      (ふぅ…頭洗い終わった…。次は体だね。)

      (さ、流石にボディーソープはピンクの容器なんだね。)

      (薔薇のいい匂い…。)



    • 17 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (さてと、お風呂に入るか…。)

      (ベリー系の入浴剤入ってる…?いい匂い…。)

      (薫さん…。)

      (薫さんはやっぱりカッコ良かったなぁ…。薫さんが女だなんて未だに信じられない…。)

      (実は女のフリしてる男とか無いかな…?)

      (いやないかな…。千聖さんは男嫌いっぽいし、薫さんが男ならあんなに距離近くないか…。)

      (いやでも、薫さんは心を許した彼氏だからあんなに距離が近いのかな…。)

      (もし、千聖さんが薫さんの彼女だったら嫌だな…。)

      (いやいや、薫さんは女で千聖さんも女なんだから付き合ってるわけないじゃん…!何考えてるんだ私!)

      (薫さん、声も低くてイケメンだったから女だなんて分かるわけないじゃん…!)

      (私はバイじゃないんだよ…。ちゃんとした異性愛者なんだ…。)



    • 18 名前:匿名スタッフさん ID:iMTU5ZWZ[] 返信

      なんだこれはw



    • 19 名前:匿名スタッフさん ID:zZTRlNzU[] 返信

      2行でおもらししたところ死ぬほど草生えた



    • 20 名前:匿名スタッフさん ID:mM2YzNWJ[] 返信

      謎のおしっこ押しw



    • 21 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -10分後-

      (そ、そろそろ上がらなきゃ…これ以上長居するとみんなに迷惑だ…。)

      —————

      「あ…。」

      (本当に花音さん、着替えを用意してくれたんだ…。)

      (私のこと好きか嫌いかどうか分からないけど、優しい人なんだね…。)

      (いや、優しいって言うよりこれは人として当然の事で…。)

      (あーもう!ウジウジ考えるな私!さっさと着替える!!)

      (…これ、誰の下着なんだろう。)

      (ま、いっか。)

      (この青いパジャマ、可愛いなぁ…。)

      「上がった?」

      「ひゃっ!?あ、上がりました…。き、着替え持ってきてくれて、ありがとうございます…。」

      「どういたしまして。あ、スカートは洗濯しておくね。」

      「あぁぁああ、ほ、本当にあり、ありがとうございますっ!」

      「ふふっ、可愛い。…部屋も案内してあげるね。」

      「あ、ありがとうごじゃいましゅ!」

      「ついてきて。」



    • 22 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -千聖の部屋-

      「あら、もう上がったのね。随分長かったわね。」

      「すす、すみません…!」

      「千聖の家のお風呂は良い入浴剤が入っているからね。長く入りたくなるのも分かるよ。」

      「あ、そ、そうですよね…っ。ベリー系のいい匂い、でした!」

      「へぇ〜、それは楽しみだなぁ。」

      (なんだろうこの変な緊張感…嫌だ…。)

      「あ、あの!そういえば、私の下着って誰の下着なんですか?か、花音さん…ですか?」

      「…そうよ。というか、なぜ貴女は花音の名前を知っているの?花音は貴女に一度も名乗った事がないのに。」

      「ふぇっ!?…そ、それは…薫さんが私に声をかける前にみんなで話しててそれで『千聖』『花音』って聞こえてきたから……ですっ。」

      「ふーん、そう。」

      (この人、怖いっ…。一番身長小さいのに、一番圧が強いっていうか…。)

      「次のお風呂は千聖と花音かい?」

      「そうね。…花音、行きましょ。」

      「う、うん…。」

      (また、薫さんと2人きり…。)

      (でも今はモヤモヤしてて緊張感で吐きそうでヤバイ…。)

      「…ましろちゃん、顔色が悪いね。どうしたんだい?」

      「ふぁいっ!あ、え、えっと…実は…。」

      「お風呂に入る前に、花音さんに…その…わ、私の事が嫌いなのに案内してくれてありがとうとか…言っちゃって…気まずくなって…。」

      (私のバカーッ!なんでこんな事言っちゃうの!?てか、薫さんも友達が見知らぬ女にこんな事言われたと聞いたらめっちゃ私の事怒るじゃん!!)

      「そうか…。」

      (あぁー絶対怒ってるわこれー。もう本当に気まずい。マジでこんなことになるなら家に帰れば良かった。パパとママに怒られるなんて、この気まずくて吐きそうな空気感を体感するより120倍もマシだっただろうに…。はぁ…。)



    • 23 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「ましろちゃん、君は少し考えすぎな性分をしているようだね。」

      「ご、ごめんなさい…。私、すぐネガティブな事ばかり考えてしまって…。」

      「よいしょっと。」

      「?」

      ギューーー

      「…っ!あ、あの…!」

      (か、薫さんに抱きしめられてる…っ///)

      「ハグには癒し効果があるとされる。最低三十秒間は抱きしめるといいらしいね。」

      「ぁ…。」

      (あれ…、確かにどんどん癒されていくような…。)

      (そ、それに……。)

      (このシチュエーション…、よく考えなくてもヤバいんじゃ…?)

      (でも今は、そんな事どうでも良い…。)

      (と、というか薫さんって少しだけ胸がある…。や、やっぱり女の人、なんだ…。)

      「…君に幸せの魔法をかけたよ。」

      「っ…!す、凄い…。ハグって凄い…!」

      「もし君が、花音に対して罪悪感や不安を覚えてるのなら、花音がここに来た時に謝った方がいい。」

      「ぁ…。は、はい…。」

      (頭まで撫でてくれる…なんだか心地いい…。)

      「悪い感情は一刻も早く吐き出した方がいいんだ。後回しにしてるとどんどん溜まって更に悪い方向に行ってしまうからね。」

      「は、ふぁい…。」

      「花音も優しいから、きっと許してくれるよ。」

      「…っ!は、はい!」

      (ヤバい…寝てて半分話聞いてなかった…。で、でもなんか謝れ的な事は言ってた…!)

      (か、花音さんに謝らないと…!)

      「…そろそろかな。」

      「あ!そ、そろそろ戻ってくる…と言うことですか?」

      「そうだね。」

      「あ、あのえっと…。」

      「ん?どうしたんだい?」

      「日曜のあの時みたく、い、居なくならないで、ください…っ。」

      ギュッ

      「大丈夫だ。居なくならないよ。」

      「あっ…。それなら、安心です…。」

      (後ろから抱きしめてくれるなんて…本当に紳士なんだなぁ…。)

      (薫さんの体温、あったかい…。)



    • 24 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「上がったわよ。」

      「次、薫さんの番だね。」

      (ッハ!そ、そうだった!ヤバい早く謝らないと薫さんが居なくなっちゃう…!)

      「花音さんさっきは失礼な事ばかり言ってすみませんでした!花音さんの善意を疑うような真似をしてすみませんでした!!」

      「よく謝れたね。偉いよ。…じゃあ、私はお風呂を堪能するとしよう。」

      「…いいよ。今許したから。…顔を上げて?」

      「ふえっ?」

      「謝れて偉いわね。悪い事をしたらすぐ謝る。これ鉄則。」

      「は、はいっ!」

      「ましろちゃんが履いてた下着は洗濯したから、明日には乾くと思う。」

      「…はい…。」

      「…ましろちゃん、眠いの?」

      「っ!?」

      「あ、は、はい…っ。」

      「それじゃあ、一番左の布団で寝て頂戴。」

      「はい、分かりました…。」



    • 25 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -翌朝 午前6時-

      ガバッ!!

      「っ!!」

      「っはぁ…!っはぁ…!」

      (い、い、嫌な夢を見た…。)

      (まだ、心臓がバクバクしてる…っ。)

      (………私、何やってんだろう。)

      (ホント、バカ…。)

      (隣は……薫さんなんだ…。)

      (か、薫さんなんだ…。)

      (へぇ…。)

      (…!?そ、そう言えば昨日……。)

      (薫さんに抱きしめられて、頭撫でられて……。………あれ…?)

      (恥ずかしい事いっぱいされたのに、全然心がときめかなくなった…。あれ?)

      (あの時は半分寝てたからあれだけど、今は起きてる。眠くもない…。)

      (なのに、なのに昨日の事を思い出しても悶えたりしなかった…。)

      (何も心が動かない。今も私の隣で寝てるのに…。)

      (日曜日のあの時のようなときめきが、消えてる……。)

      (……………………………あぁ、そうか。)

      (もう私は………)

      薫さんに恋をしなくなったんだ————



    • 26 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (なんて事はない…。)

      (シンデレラの魔法が解けたように、私のこの恋心も…)

      (情熱的に揺れるような恋情も…)

      (あの夜が持っていってしまったんだ…。)

      (あぁ……思春期の一抹の恋なんてものは息を吹きかければ消える蝋燭の炎並みに脆いものなんだ。)

      (薫さんが女だと判明した時点で、私の恋は終わったんだ。)

      (私は異性愛者だもん。男じゃないなら恋をする理由も惹かれる本能もなくなる。)

      (あーあ、この恋心がずっと続けば良かったな…。)

      (薫さんが男だったら、私はもっとこの融けるような恋心に酔えたのに。)

      (………私って、つくづく自分勝手だな。)

      (恋の魔法が解けたら、残るのはどうしようもない倦怠感にも似た虚無。)

      私は、そうして1人感傷に何十分も浸っていた。



    • 27 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (………あっ!)

      (そ、そう言えば…今日は学校…だよね…?)

      (現実逃避して忘れてたけど……。)

      (ど、ど、どうしよう…!)

      (下着も花音さんに返さなきゃだし、それに教科書ごと学校に置いてきたから、今からスクールバッグを学校に取りに行って、家に戻って教科書を選び直して……って、無理じゃん!)

      (というか、まず制服がダメだよね…。スカートは洗濯して確かクリーニングに出したとかなんとか…。)

      (……終わった。学校休むしか方法がない。)

      (スマホもないし、こんな時は誰を頼ればいいんだろう。)

      (と、取り敢えず一番最初に起きた人に頼れば…。)

      「んっ、んんーーっ!」

      (げっ!よりにもよってこの人ぉ!?嘘でしょ…。)

      (い、いやでも花音さんか薫さんが起きるまで待てば良いじゃん…?)

      (わざわざ怖い人に頼らなくたっていい。)

      「……ましろちゃん。」

      「ひゃっ!」

      (嘘ぉ〜!?まさかのまさかのあっちから話しかけてくるパティーン!?)



    • 28 名前:匿名スタッフさん ID:wYjg0NjI[] 返信

      この脳内うるさい感じ好きだわ~



    • 29 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「今日は平日ね。」

      「は、はぁ…そうですね…。」

      「ましろちゃんの学校は確か登校日よね?」

      「は、はい…。そうです…。」

      (この人、わざと圧をかけて話してるのかそれとも自然と圧がかかる話し方になるのか…どっちなの?)

      「早く行かなきゃ不味いんじゃない?」

      「ぁぅ…。」

      (そ、そんな事言われたって無理だって!スクールバッグは学校に置いてきちゃったし、制服もスカートがダメになっちゃったし……もう休むしかないんだ…。)

      「学校に行きたくないの?」

      「…ひぃえぁ!?あ、あいえ!そ、そういう訳ではなくて、ですね…。」

      「んんっ…。」

      「あ…っ。」

      (か、花音さんも起きた…。か、花音さんなら私の事情知ってるから弁解してくれるはず…。)

      (昨日の失言も、もう謝ったから許してくれて私の味方してくれるし…。えへへへ。)



    • 30 名前:匿名スタッフさん ID:iMTU5ZWZ[] 返信

      千聖ちゃんの「怖さ」が何かこう、リアルというか、嫌な女感というか、本当に心にグサッとくるわw



    • 31 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「か、花音さん…!」

      「んん〜?な〜に〜ぃ?ましろちゃ〜ん…。」

      「わ、私は学校に行けない事情があるんです!」

      「ん…知ってるよ。」

      「『行けない』じゃなくて『行きたくない』の間違いじゃないの?それとも本当に行けない事情があるの?」

      「っ…!」

      「お泊まり会には参加出来るのに学校には行けません、とか言っちゃう新型うつ病ではないのよね?」

      「…。」

      (なんでこの人はわざわざ私を追い詰めるような話し方…っ、するの…?私のこと、嫌い…なのっ?)

      「…っ、っひっぐ…!」

      「泣いてちゃ分からないでしょ。それに、私ももう時間がないから手短に説明してくれる?」

      「…っぐ、ひっ、あのっ…!っはぁっ…!」

      「……花音。」

      「ん?」

      「貴女はましろちゃんが学校に行けない理由を知ってるのよね?ましろちゃんの話を聞いてやってくれないかしら?」

      「うん、分かった…。」

      「あと薫!!いつまで寝てるの!?早く起きなさい!もう時間無いわよ!?」

      「……ん…。す、すまない…。」

      「さっさと私と一緒に洗面台に行って顔を洗って歯を磨く!」

      「分かったよ…。」

      「花音、よろしくね。」

      「う、うん…。」

      (この人、素で性格悪いんだね…。)



    • 32 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (で、でも花音さんと二人きりなら…大丈夫…かな。)

      「…ましろちゃん。」

      「…な、なんですか…っ。」

      「学校に行きたい?」

      「…ふぇっ!?……えっと、あの…。」

      (も、もしかして花音さんまでさっきの千聖さんみたく私を責め立てる…のかな…。)

      「私は確かにましろちゃんが学校に今日は通えない理由を知ってるよ?…それを知った上で、ましろちゃんが学校に行きたいのか行きたくないのかは知らないから、教えてくれないかな?」

      「あ、えっと…その…………い、行きたいです。というか、行かなきゃ単位取れないし…。」

      (本当は行きたくないけど…行かなきゃいけないのは知ってるから…。)

      「分かった。じゃあ、今日は遅刻してでも学校に行こうか。」

      「…えっ!?」

      「行きたい、行かなきゃいけないならそうするしかないね。」

      「あ、そ、それは…そうなんですけど…っ。」

      (なんでこんな展開になるの〜!?)

      「スカートは洗濯して臭いも消えたから履けるよ。あとは制服を着て学校にまで行って、スクールバッグを取りに行って、帰って教科書を選び直すだけ。そしてまた学校に通う。…出来るよね?」

      「ぁ…っ。」

      「大丈夫。私もついて行ってあげる。」

      (だ、抱き寄せてくれると…あ、安心する…。)

      「今日は私も遅刻だね。遅刻するのが1人じゃなかったら、怖くないでしょ?」

      「は、はい…!」

      (うわー、私本当にクズいなー。…で、でも安心するのも事実だし…。)

      「そうと決まれば私たちも洗面台に行って身支度をしようか。」

      「わ、は、はい…っ!」



    • 33 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -洗面台-

      「あら花音…と、ましろちゃん。」

      (ひっ…!か、完全に私のこと嫌ってるトーンだこれ…!)

      「話し合いは終わったかい?」

      「うん…。それで、私はましろちゃんと一緒に遅刻することになったよ。」

      「ぁ…ぇ…。」

      (なんか、まるで私が悪いみたいな…。いやそもそも、昨日スクールバッグも持たずに走り出した私が悪いんだけどさ…。ははは…。)

      「……。ましろちゃんの為に、そこまでしなくても良いのに…。」

      「いやいいの。私が好きでやってる事だから…。」

      「…そう。じゃあ、私と薫は先に学校に行くから。そこで花音が遅刻する旨を担任に伝えておくわ。」

      「ありがとう。」

      「ではお先に。」

      「あ、あの…!」

      「ん?」

      「か、薫さんと千聖さんと花音さんって、学校同じ…なんですか?」

      「私と千聖ちゃんは同じだけど、薫さんは違う学校だね。どっちも女子校だよ。」

      「あ、そ、そうなんですか…っ!わ、私も女子校で…。」

      「ふふっ、お揃いだね。…あ、ましろちゃんはこの歯ブラシ使って。」

      「わ、かりました…。」



    • 34 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -3分後-

      「か、花音さん…!」

      「ん?」

      「歯磨き終わったら…朝ごはん食べるんですよ…ね?」

      「うん、そうだよ。」

      「その後は、着替えするのはわかってるんですけど…。」

      「…?」

      「わ、私まだ、花音さんの下着身につけてるままで…、えっと、私の下着を身につけないと…ですよね…。」

      「うん、そうだね。私の下着を脱いで、その後に洗濯したましろちゃんの下着を着る感じかな?ましろちゃんの下着は朝ごはん食べた後に渡すから。」

      「は、はい…。」



    • 35 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -朝ご飯食べた後-

      (千聖さんの家、さすがお金持ちというか…朝ごはんも豪華だったな…。)

      (まるでホテルの朝ごはんみたいだった…。)

      「はい、これがましろちゃんの下着ね。」

      「…っ!は、はい、ありがとうございます…っ。」

      「私の下着は……取り敢えず、この家の洗濯機に入れておいて。」

      「わ、分かりました…。」

      「洗濯機がある場所は分かる?」

      「は、はい…。」

      「ん、しょ…とっ。」

      (ぶっちゃけ、花音さんのブラは少しキツかったな…。)

      (私が大きすぎるのかも…へへへ。)

      -洗濯機に下着を入れた後-

      「き、着替え…終わりました…。」

      「ん…しょ………私も今終わったよ。」

      「あ、で、では…まずはその…月ノ森に…。」

      「あ、ああそうだね。まずはましろちゃんの通ってる学校に行ってスクールバッグを取りに行かないとだね。」

      「ましろちゃんの通ってる学校って、月ノ森って言うの?」

      「は、はい…。」

      「へぇ〜、結構なお嬢様校だね〜!ましろちゃんもお金持ちだったりするの?」

      「ええっ!?べ、別にお金持ちじゃないです…。月ノ森も高校から入学でしたし…。」

      「そっか。…それじゃ、行こっか。」

      「は、はい…!」

      (花音さんは私と違ってスクールバッグちゃんと持ってる…。スマホも…。ま、まあ私みたいなボンクラとは違うか…。)



    • 36 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「行ってきます。」

      「ぃ…行ってきます…。」

      千聖ママ「行ってらっしゃい。」

      ガチャンッ

      「つきのもり…出てきた!」

      「…な、なんですかそれ…?」

      「○ーグルマップだよ。私、方向音痴だからこのアプリが無いと迷っちゃうんだ…。」

      「そ、そうなんですね…。」

      (まあなんというか、意外なのか意外じゃないのか分からない弱点だなぁ〜…。)

      (そ、そう言えば気になっていた事があった…。)

      「か、花音さん…。」

      「ん?」

      「お泊まり会した時、明日学校みたいな状況だったのに…もう何というか明日の用意的なの出来てるんですね…。」

      「まあね。明日学校だから、明日の分の教科書まで持っていかなきゃ行けなくて昨日は大変だったなぁ〜。」

      「あ、あぁ、そ、そうなんですか…。」



    • 37 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>36修正

      「まあね。今日も学校だから、今日の分の教科書まで持っていかなきゃ行けなくて昨日は大変だったなぁ〜。」



    • 38 名前:匿名スタッフさん ID:mZjljYmM[] 返信

      めちゃくらたま感出てて面白い!
      続き気になる!



    • 39 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -xx分後-

      「…月ノ森女子学園…ってここで合ってるよね?」

      「……っ!?あ、あぁはい!!ここで合ってます!!」

      「じゃあ、校門で待ってるからスクールバッグ取りに行ってきてね。」

      「…ぅ、はい…。」

      (ど、どうしよう…担任になんて説明しよう…。)

      (ただでさえ遅刻したのに、それでまたスクールバッグだけ取りに行って、家に帰って教科書変えてまた通うなんて…許してくれるの?)

      (ヤバい不安すぎておしっこ漏れそう…!昨日の二の舞だけは避けたい…っ!)

      「…ましろちゃん?どうしたの?」

      「っ、はっ…!か、あ、え、い…っ。」

      「…不安なの?」

      「あえっ!?ぜんっぜん!?だ、だだだだいじょうぶですっ!行ってきますぅ!!」

      「……。」

      (あーもうここまで来たら突っ走るしかない!!)

      (元々はスクールバッグを忘れて突っ走った私が悪いんだから!!怒られるぐらい覚悟しろ倉田ましろッ!!!)



    • 40 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -1年A組教室-

      ガラッッ!!

      「え?」「倉田さん?」「遅刻…?」「今更?」

      (ま、ましろちゃん…!?)

      「っはぁ…!っはぁ…!」

      「あ、あの…っ!」

      国語教師「…倉田さん、どうしましたか?」

      「……えぇっ!?」

      (嘘っ…!?た、担任じゃ…ない…っ?)

      国語教師「…あの、授業が終わるまで廊下に立っててくれません?授業妨害は大幅減点の対象ですので。」

      「ぁ…っ。わ、分かり…ました…。」

      ガラララッ

      (ど、どうしよぉぉ〜…。怒られちゃった…っ!)

      (あ、ヤバいトイレ行きたい…っ!)

      -女子トイレ-

      「っふぅー!こ、今回は漏らさなくて済んだ…。」

      (こ、こうしている間にも花音さんは外で待ってるんだ…!ぐずぐずするな私ッ!!)

      (そ、それに私のスクールバッグがあるのはいつもの空き教室なんだから、そこに行けばいいじゃん…!)

      (よし、空き教室に行こう…。)

      ジャーーーー



    • 41 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -空き教室前-

      (よしっ!)

      「……ッ!?」

      (嘘っ…鍵が掛かってて空けられない…っ!?)

      (ま、まずい!このままじゃヤバい…!)

      (え、えっと…。)

      (職員室に行って鍵を借りてこよう…!)

      -職員室-

      コンコン

      「し、失礼しますっ…。1-Aの倉田、ましろ…ですっ。」

      「なにー?聞こえないぞー!」

      「あ、のッ!!1年A組のッ!!倉田ましろ、ですッ!!x階の空き教室の鍵を借りに、来ました…ッ!!」

      「…入っていいぞ。」

      「っはぁー…。」

      ガラガラ

      「はい、これが空き教室の鍵。」

      「あ、ありがとうございますッ!!失礼しましたッ!!」

      「……。」

      (早くッ…1秒でも早く辿り着いてッ!!)



    • 42 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -空き教室前-

      「…っはぁ…!っはぁ…!や、やっと辿り着いたぁー!」

      ヘタァ…

      (あぁいけない、座っちゃダメだよ私…っ。早く取りに行かなきゃ…。)

      (………あっ、あった!)

      (私のスクールバッグ…!す、スマホもちゃんと入ってる…っ。)

      (早く校門に戻らなきゃ…っ!)

      (あ、そ、その前に鍵を返さなきゃ…っ!)

      -xx分後 校門前-

      (ましろちゃん、まだかなぁ…。)

      「っはっ!っはぁっ…!も、戻りました、花音さんっ…!」

      「あ、おかえり。…じゃあ、最寄り駅まで行こうか。」

      「っは…、はい…っ!」

      -最寄り駅-

      「…じゃあ、私はもう行くよ。」

      「えっ!?…あ、あぁそうか。」

      「ここからは1人でもいけるよね?」

      「はい…。」

      「それじゃあバイバイ。」

      「さ、さようなら…。」

      (…スマホのバッテリー、残り何%なんだろ…。)

      (…!?さ、34%…!?こ、これじゃあ無理だよぉ〜…。)

      次は〜××〜××〜

      (の、乗らなきゃ…。)



    • 43 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -xx分後 倉田家-

      ピーンポーン

      ましろママ「はーい!」

      ガララッ

      ましろママ「…っ、ましろぉー!!」

      「…っ!…た、ただいま…っ。」

      ましろママ「んもぉー!昨日はどこ行ってたの!?心配したんだからぁ〜!!」

      「…えっと、それは家で話すから…ママ、泣かないで…。」

      ましろママ「…っぐ…はぁ…ゔ、ゔん…っ。」

      -リビング-

      ましろママ「ほんっとうに心配したんだからぁ!誘拐されたんじゃないかとか、その他諸々ォ!」

      「…ぁぅ、ご、ごめんなさい…。」

      ましろママ「んで?どこ行ってたの昨日。」

      「えっと、ち、千聖さんの家…。」

      ましろママ「千聖さん…?誰?その人。」

      「えっと、女の人で、女子高生っぽかった。家はお金持ちだった…。その人の家に泊めてもらったの。」

      ましろママ「…へ、へぇ…。取り敢えず、怪しい男の家に泊まったりだとか誘拐されただとかそういうのは無いみたいね。安心安心。」

      「あとね、薫さんって言うイケメンの女の人と、花音さんっていう優しそうな女の人も居た…。」

      ましろママ「ふーん…。なんで泊めてもらったわけ?」

      「えっと、モニカのみんなと恋バナしてて、それで私が恥ずかしくなって衝動的に走ってたら…スクールバッグとか置いてきちゃってどうしようもなくて蹲ってたら…薫さんが声をかけてきてくれて…。」

      ましろママ「そういう事ね。…でも、薫さんが声をかけてくれたのになんで千聖さんの家で泊まることになったの?」

      「千聖さんと薫さんと花音さんで、千聖さんの家に泊まるお泊まり会を企画してたらしくて…それで…。」

      ましろママ「ふーん。…下着はどうしたの?」

      「下着は花音さんが貸してくれた。返すときに花音さんは千聖さん家の洗濯機に入れておいてって言ってたから入れた…。」

      ましろママ「ふむふむ。…その千聖さんの苗字分かる?」

      「わ、分からない…。」

      ましろママ「そっかー。」

      「あ、えっと!私、だから、今日使う教科書を取りに来たの!千聖さんの家から花音さんと一緒に出発して、それでスクールバッグを取りに行って…それで今、教科書を取りに行くために家に帰ったの!」

      ましろママ「…そう。」

      ましろママ「ましろ、今日はもう学校休みなさい。」

      「……ええっ!?なんで!?」

      ましろママ「いいから。…私の方から学校に電話しておくわね。」

      「えぇ〜…っ。」

      (と、口では言いつつも…!)

      (なんだかんだで、嬉しいーっ!)

      (しかも今日は金曜日だし、土日合わせて3日も休めるッ!やったー!!)



    • 44 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -教室-

      「あーっ!倉田、お前なんで昨日学校休んだんだよぉ〜?」

      「ふえっ!?え、えっとぉ…。」

      「倉田さん、もしかしてズル休み〜?」

      「ち、違うよ七深ちゃん…!」

      「ズル休みなんて、倉田さんってそんな事する人だったんだ。見損なったなぁ〜。」

      「ふ、ぁ、っ、つ、つくしちゃん、違うよぉ…!」

      「は?てか、気安く私のことを名前で呼ばないでくれる?ズル休み子ちゃん!」

      「ひっ…!」

      「倉田さん、最低ね。月ノ森生の恥よ。」

      「ごっ、ごめんなひゃ…っ!」

      「オイオイ倉田の弱虫、泣き出しちまったよwなんでお前が泣いてんの?w」

      「弱虫のズル休み子ちゃんに泣く資格とか、あるのかな〜?」

      「あーもう本ッ当にサイテー!!ズル休みする人とはバンド組めません!!それではっ!!」

      「ぁ…っ、待って…っ!ひぐっ…。」

      「私も失礼するわ。大体、バンド活動なんて馬鹿らしい。」

      「ぁ…。」

      「なーんかつまんねー。アタシも帰ろっかな〜!何処かの誰かがズル休みしたせいで萎えたわ〜。」

      「…これからは学校で会っても絶対に私に話しかけないでね、卑怯者の倉田さん。」

      「…っ、ぁ…。」

      ——————-

      「ッ…!うっ…ぐっ…!」

      「………ッ!!」

      ガバッ

      「っはぁ!っはぁ!…あ、ゆ、夢…かぁ〜…。」

      (やたらとリアリティが有って怖かったな…。)



    • 45 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (…なんか、眠い…。)

      (今、何時…?)

      (よ、夜中の3時…っ!?……そりゃあ眠いわけだ。)

      (もう一回寝よ。今日は土曜日だから、良いよね…?)

      ——————-

      (…ここは、宇宙…?)

      (なんで、宇宙に居るんだろう…?)

      「ましろちゃ〜ん!ミッシェルだよ〜!!」

      「っ…えっ!?み、みみみみみみミッシェルぅぅぅぅ〜///」

      (嘘嘘嘘〜っ!!ミッシェルがまさか、私に話しかけてくれるなんて〜っ!!)

      「早速だけど、ボクと一緒に宇宙城『アスパラガス』に行こうか。」

      「はい…。」

      (宇宙城の名前が『アスパラガス』って…何?)

      -宇宙城 アスパラガス-

      「王子〜!姫を連れて参りました〜!」

      王子「おお、なんと素晴らしい事か!」

      (王子…姫…私が、姫…?)

      (…うわぁ!い、いつのまにか、ピンクのドレス着てるよ私…!)

      (しかも、城外も城内も緑色で気持ち悪い…。流石はアスパラガス…。)

      「…君が、姫かい?」

      (……っ!?か、薫…さんっ!?)

      「は、あ、はい…っ。」

      「私はアスパラガス王国の王子、瀬田薫だよ。よろしくね。」

      「…っ///…は、はい…。」

      (あれ?私、何火照ってるんだろう…。心臓もドキドキしてる…。)

      「ふふっ、顔が赤林檎のように可憐な色をしていて可愛らしいね。さ、中に入って。」

      「ぁ…。」

      (や、やっぱり、近くで見ると、本当にイケメンだなぁ〜///)

      「…よっこらしょっと。」

      「あ、あの…何を…するつもりなんですか…っ///)

      「何って…。そりゃあ…」

      顎クイッ

      「君と接吻するんだよ。」

      「…っ♡」

      (えぇっ!?あ、顎クイされた上に、キキキキキキキスゥッ!?う、嘘…でしょっ!?)

      (あヤバイ薫さん、目を閉じてもイケメン…♡)

      (あ、ああああ唇っ、唇が近づいて…っ///)

      ポンッ

      「……///あ、あれっ!?」

      「王子様にはここで消えてもらうよ。本当はボクとキスをするんだよ?」

      「え、えぇっ〜!?」

      「さ、こっちにおいで…。」

      「は、はい…///」

      (あ、あれ…意識が、どんどん黒くなって………。)



    • 46 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -午前8時 ましろの部屋-

      「…っ、んんぅ…。」

      「………。」

      (なんか、怠い…。)

      (…それにしても、さっきの夢はなんだか数日前の気持ちを思い起こさせたような夢だったな…。)

      (でも、なんで、前より心が動かない…。)

      (やっぱり、魔法は解けたら戻らないんだね…。)

      (あの体験を、もう一度したい…。)

      (恋に浮かされて、どうしようも無くなって、どうしようもなく甘い、あの魔法に…もう一度掛かりたい…。)

      (私を突き動かしてくれたのは、あの恋心…。)

      (薫さんを男だと思い込んだままの、あの恋心…。)

      (もしかしたら、モニカのみんなに話した時点で…恋の魔法は解けてしまったのかな…。)

      (はぁ〜あ、もしそうだったら…嫌だなぁ…。私のせいになるじゃん…っ!)

      (………はぁ。)

      ピロリン

      (あ、透子ちゃんからLINEが届いてる…。)

      TOKO『しろ、お前昨日はどしたん?』

      TOKO『今日は必ず来いよな!CiRCLEに13時集合だから!』

      「……。」

      「…はぁ。」

      (薫さんは、本当に女、なんだ…。)

      (なんだか心が認めかけているのに脳が拒絶してるみたいなこの気持ち悪さ…。早く捨てたい…。)

      (と、取り敢えずまずは透子ちゃんに返信しなきゃ…っ。)

      しろ『昨日は色々あって休んでたの。CiRCLEで説明するから、待ってて。』

      しろ『今日は来れるから。』

      (ウサギの絵文字…っと。)



    • 47 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      広町『お、しろちゃん来てくれるんだ〜!良かったぁ〜!…話、CiRCLEに行ったら絶対聞かせてね?』

      ツクツクボウシ『金曜日に何があったのかとか、全部話してくれるんだよね?約束だよっ!』

      『時間通りに来て。遅れは許さないわ。』

      (あ、みんな…返信してくれてる…。)

      TOKO『ルイ、それは流石に厳しすぎんだろ〜!アタシは5分遅れぐらいまでなら認めてやるけどな〜!』

      ツクツクボウシ『5分は緩すぎでしょ。せめて3分遅れまでだね。』

      広町『広町は何分遅れでもいいかな〜。…なんて(笑)。』

      (ふふっ。)

      しろ『絶対遅れないようにするよ。あと、説明もするから。』

      (…この空っぽになってしまった心に、何かを埋めて欲しい。)

      (そう思うのは、身勝手なのかな…。)

      (本当に、薫さんが男だったら良かったのにな…〜。)



    • 48 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      フルネームがアイコン変換されるなんて知らなかった…。
      一応、瑠唯のアカウント名は『八潮瑠唯』のつもりでした。



    • 49 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -12時50分 CiRCLE-

      ウィーン

      「っはぁ…!っはぁ…!…んぐぅ、つ、着いた…っ!」

      「おっ、しろはえーな〜!10分前に着くとは。」

      「しろちゃんおめでと〜!」

      「んっ!な、七深ちゃん…っ。」

      「あと来てないのは二葉さんだけね。…まぁ、13時までには着くでしょう。」

      (ま、まさかこんなに早く着くとは思わなかった…。11時ぐらいまで作詞してたから、てっきり遅刻するかと…。)

      「いちおー13時にCiRCLEのスタジオ予約してあるから、入っておこうぜ。」

      「わ、分かった…。」

      「広町はつーちゃんにメールしとくね〜。」

      「頼んだ!」

      「…倉田さん、そのカバンに入っているのは何?」

      「…あ、これ?これは作詞ノート。」

      「月曜日に作詞を見せてもらったばかりなのに、もう新しい作詞を書き上げたというの?凄いわね。その熱量は賞賛に値するわ。」

      「あ、ありがとう…。」

      「またラブソングか〜?」

      「う、うん…。似て非なるものだけど…。」

      「…もしかして、失恋ソングだったりする?」

      「…っ、大体…そんな感じ…。」

      「え〜っ!?お前マジかよ〜!もう失恋したのかよ!はえぇー!」



    • 50 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「な、何故か金曜日になったら薫さんに恋をしなくなっちゃって…。」

      「薫さんに恥ずかしい事をされたのを振り返っても、全然ドキドキしなくなっちゃって…。」

      「ふーん。…ってそれ、失恋じゃなくね?しろが勝手に冷めただけじゃね?」

      「う、うん…。薫さんにフラれたわけじゃないから、失恋じゃないね…。」

      「え〜でもでもぉ〜、それもある意味失恋じゃな〜い?恋を失ったわけだし〜。」

      「題材が何であれ、詞を短期間で2つも書き上げるのは凄いわね。」

      「あ、ありがと…。」

      ガチャッ

      「七深、ふーすけに『スタジオDにいる』って言っといて。」

      「はいは〜い。」

      -13時 スタジオD-

      「…ふーすけ、全然来ねぇ。」

      「全く、時間通りに来られないなんてリーダー失格ね。二葉さんは時間管理が甘すぎるわ。」

      「まあまあるいるい〜。つーちゃんにはつーちゃんのペースがあるんだよ〜。」

      「わ、私ちょっとトイレ行ってくる…。」

      「いってら〜。…とりま、ふーすけが『3分遅れまでならいい』的な事言ってたし3分になるまでは待ってあげよ〜ぜ?」

      「…はぁ。それもそうね。だけど、3分になっても二葉さんが来なかった場合は先に練習を始めるわ。」

      「あーそれでいいよ。」

      「…つーちゃん、もうすぐ来るってさ。」



    • 51 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -13時2分-

      ガチャッ

      「…っ、はぁ…っ!はぁ…っ!つ、着いた〜っ…!」

      「お、ギリギリだったなふーすけ。あと20秒で3分になるところだったぞ。」

      「つーちゃんえら〜い。」

      「うっ、ん…!ご、ごめん…っ、遅れちゃって…。」

      「次は遅れないように。…二葉さんは全体的に遅刻する傾向にあるから気をつけるように。」

      「は、はい…っ。」

      「…そういえばましろちゃんは?まだ来てないの?」

      「しろなら12時50分に来たぜ。今はトイレ行ってる。」

      「そ、そうなんだ…。」

      「つーちゃん聞いて〜。しろちゃんね、また詞を作ったんだって〜。凄くな〜い。」

      「…………えっ!?もう新しい詞を書き上げたの?すごっ。」

      「…あ、トイレ終わった。」

      「これで全員揃ったわね。練習を始めるわよ。」

      「はいは〜い。…今回練習するのは月曜にしろちゃんが書いた詞に曲を付けたもので〜す。」

      「おっしゃ!楽しみだな!」

      「…難しい?」

      「ん〜とね、そんなむずくないよ〜。ちょっとゆったりめの曲だし〜。」

      「譜面を配ってくれるかしら。」

      「はいは〜い。」



    • 52 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>51修正

      「つーちゃん聞いて〜。しろちゃんね、また詞を作ったんだって〜。凄くな〜い?」



    • 53 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>51またまた修正

      「楽譜を配ってくれるかしら。」



    • 54 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -17時40分-

      ジャーーーーーーン

      「え、えっと…!もう今日の練習は終わり!リーダーからの命令です!」

      「…っはぁ、やっと、終わった…ぁ。」ヘタァ

      「ッはぁー!疲れたー!」ボキボキボキ

      「んーーーっ!…いや〜、手が筋肉痛になりそ〜だなぁ〜。」

      「…倉田さん、床に座るのはやめた方がいいわよ。」

      「っは!…ご、ごめん…。」

      「…なぁ、明日はどうする?アタシは出来れば休みたいんだけど。」

      「私は明日も練習した方がいいと思うわ。」

      「広町はどっちでもいいかな〜。明日暇だし〜。」

      「……ましろちゃんは?」

      「…へっ!?あ、あぁえっと……で、出来れば、や、休みたい…かな。喉も痛いし…。」

      「よし!じゃあ明日は休み!練習したい人は家で自主練してね!」

      「分かったわ。」

      「なぁしろ、なんで昨日休んだのか説明して来んね?」

      「ぁっ!わ、分かったよ…。」

      「ここじゃなんだし、カフェに行ってから話を聞こ〜よ〜。」

      「それもそうね。まずは後片付けからの方がいいわ。」

      「じゃあ、まずは後片付けをしましょう!」

      「「はーい!」」「…はい。」「分かったわ。」



    • 55 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -カフェ『Glowing Star』-

      (結局、CiRCLEのカフェじゃなくてCiRCLEの近くにあるお洒落なカフェに行くことになった。)

      (さ、CiRCLEの近くにこんなお洒落なカフェがあるなんて知らなかった…。普段CiRCLEの周りなんて歩かないからなぁ〜…。)

      (流石は透子ちゃん…。アンテナのキャッチ力が凄い…。)

      「しろー?おーいしろー!」

      「っひぇっ!?」

      「しろちゃん、ボーッとしてたよ〜。」

      「あ、ご、ごめん…。」

      「で、なんで昨日休んだ…ってか一回学校来てから休んだのか、聞かせてくれる?」

      「あ、分かった…。」

      「まず、木曜日の夜に私が恥ずかしくて走り出した事から始まるんだけど…。」

      「ひたすら走った後、どこだか分からなくなってスマホで調べようとしたら、財布とスマホが入ったスクールバッグを忘れちゃって…。それで絶望して蹲ってたの…。」

      「ふむふむ。」

      「そしたら、千聖さんと花音さんと一緒にいる薫さんが私に声をかけてくれて…それで私はなし崩し的に千聖さんの家で行われるお泊まり会に参加したの。」

      「そこで花音さんに気まずい事を言ったり、千聖さんに嫌われたり?、薫さんに抱きしめられたりして…。」

      「うんうん。」

      「そして翌朝になって、薫さんに恋をしなくなった。」

      「それで、色々あって花音さんと遅刻することになって、花音さんは私と一緒に月ノ森まで付き添ってくれた。」



    • 56 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「へー。」

      「私は走って月ノ森のいつもの空き教室からスクールバッグを取りに行った。そして花音さんと最寄り駅まで行って、最寄り駅に着いたら花音さんはそのまま自分の学校に行ったの。」

      「私は家まで帰って、ママに家に帰った理由を伝えたら、ママに『学校を休みなさい。』って言われて…今に至る感じ。」

      「はぁ。要約するとお母さんに学校を休めと言われて休んだって事ね。つまり倉田さん自身は学校に行く意志があったと?」

      「そ、そんな感じ…。」

      「へえー。なんでしろの母ちゃんが学校休めって言ったのかイミフだけど理由が分かってスッキリしたわー。」

      「そりゃあ自分の娘が夜に家に帰って来なかったら心配になって学校休めって言うと思うよ〜?」

      「や、休んだ理由は分かったけど…なんで一旦1-Aの教室に立ち寄ったの?」

      「担任の先生に、遅刻したのを伝えたかったから…。でも、国語の先生だったから、諦めた…というか、追い出された感じ…。」

      「…教えてくれてありがとう。」

      「次からはスクールバッグを持ったのを確認してから下校するように。」

      「…わ、分かった。」



    • 57 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -xx分後-

      「そろそろお会計すっか!アタシがオール奢りするから、みんな先帰っていいぞ〜。」

      「は〜い。…しろちゃん。」

      「…?何?」

      「今日持ってきてくれた新詞、私に貸して〜?曲つけるから〜。」

      「わ、分かった。」

      ガサゴソ

      「は、はいこれ…。」

      「ありがと〜。」

      「瑠唯さん、相変わらず帰るの早いなぁ…。」

      「そ〜だね〜。1秒でも時間を無駄にしたくない効率主義者だからしょ〜がないね〜。」

      「…会計終わりっ。…4人で帰るか?」

      「う、うん…。」

      「賛成。」

      「広町もそれが良いと思いま〜す。」



    • 58 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -倉田家-

      ガラガラッ

      「た、ただいま〜。」

      ましろママ「おかえり、ましろ。」

      ましろパパ「今日はちゃんと帰ってきたな。…二度とスクールバッグというかスマホを忘れないようにな?」

      「わ、分かった…。」

      ましろママ「ご飯は?」

      「カフェで食べてきたから、要らない…。」

      ましろママ「そう…。」

      (今日も、薫さんの事を考えなかった…。)

      (なんだろう、このモヤモヤとした罪悪感は…。)

      (別に、向こうは私が薫さんの事を考えなくてもどうだって良いのに…。ファンも多いらしいし、私がファンじゃなくなったって、沢山のファンがいるから気にもしないのに…。)

      (私は、なんでこんなにも心が苦しいんだろう…。)

      (『考えなきゃ』って言う義務感に、縛られてるのかな…。)

      (なんか、なんか、なんか…っ!)

      ガチャッ

      (心が苦しいよッ!!)

      ボフッ

      「痛っ…。」

      (布団に勢いよく飛び込んだからか、少し痛い…。私の心も体も脳も…全部、痛いよ…っ。苦しいよ…っ。助けて…っ。誰か、っ、助けて…っ…!)



    • 59 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>58修正
      (ベッドに勢いよく飛び込んだからか、少し痛い…。私の心も体も脳も…全部、痛いよ…っ。苦しいよ…っ。助けて…っ。誰か、っ、助けて…っ…!)



    • 60 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「っっはぁーっ…っはぁーっ…っはぁーっ…。」

      (心が、体が、脳が、私が、悲鳴をあげている。)

      (このグチャグチャした感情だけで、飛び降りたくなる気分に駆られる…っ。)

      (私の全てが…罪の鎖に縛られて…っ、身動きがとれない…っ!)

      (これはっ、これは薫さんから私への罰なの?)

      (私が、私の恋心がすーっと冷めてしまったから、せめて私に消えない傷を刻み込もうとしたの…っ?)

      (それとも…それとも、私が私を縛り付けてるだけなのかな…。自縄自縛な状態に陥ってる…?)

      (後者の方が可能性が高そう…。でも、前者の可能性も無いとは言えない…。)

      (ハッキリ言って、あの人ナルシストだし、自分を忘れて欲しくないから…正確に言えば、自分への恋心を相手が消さないように、私の心臓をギュッと握りしめて傷を刻み込んでいるのかな…っ。)

      (私は…私は…私は…っ。)

      (——–自分の思いと、脳が…乖離してるんだ。)



    • 61 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (私の脳は、薫さんが女だと知った時点で冷めてたんだと思う。)

      (もしくは、モニカのみんなに薫さんとの出会いやその他諸々を話した時点で…もう…。)

      (…で、でも、私の心は薫さんへの燃えるような恋情を持続させていたい…っ。)

      (正確には、いたかった…。)

      (私のあの想いは、正確には『恋情』とは…言えないのかもしれない。)

      (ただ、あのかき乱されるような熱に『恋情』というラベリングをしただけ…なのかも。)

      (あんなに自分が乱されて、溶けてしまいそうになった感情に包まれたのは…人生で初めてだから、何て呼べばいいのか、何に分類されるのか、ぜんっぜん分からない…。)

      (……いや、薫さんを男だと思い込んでた時は、間違いなく恋情だったのだと思う…。)

      (薫さんとデートする事を考えたり、薫さんとキスすることを考えたり、果てには…それ以上をする事まで…。)

      (……っはぁ…っ///)

      (ど、どうしよう…。キス以上の事をする妄想をした時のことを思い出して、体が火照ってる…っ。)

      (ヤバい…///乳首が硬くなって…、股が疼く…っ///)

      (か、薫さんに恋してなかったんじゃ…なかったの!?私ッ!!)

      (…もしかしたら、まだ恋をしているのかも…。)

      (と、取り敢えず、お風呂に入ろう…うん。)

      「っはぁ…っ///っ…っはっ…んっ…///」



    • 62 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      ※注意!
      ここから少しだけ過激な描写(微エロ)があります。



    • 63 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -風呂-

      「くぅ…ん…っ、あっ……///」

      (取り敢えず、揮発性の高い情欲は一旦発散させて…から…、んっ…、その後に、冷静に考えれば……)

      「ひぐぅ…っ!」

      「んんんっ…///」

      「んん…っ、………ふぅぅぅぅっ/////」ビクビクッ

      「はぁ…ぁ…っ、て、んんぅっ///…手がっ、はぁぁっ、と、止まらない…よっ!!」

      ビクビクビク

      「はっ…はっ…ん…ッはぁ…っ!あっ……まだ、止まらない…んひぃ…っ。」

      -5分後-

      「ひぃいぃぃぃいぃっ!!………ッッッッッ〜!!」

      「……ッ!!」

      「…………ふぅっ…。」

      「っはぁ…!っはぁ…!い、イッた……。…………やっと、頭が冴えてきた。)



    • 64 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      もう過激な描写は終わりました。
      不快な方は>>63だけ読み飛ばしてください。



    • 65 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (もしかしたら、恋をしてないのを色々と誤魔化そうとしてるのかもしれない。)

      (私は、薫さんの幻影を自分で作って…その幻影に縛られてる…?)

      (いや、これは可能性低い…。と、思う…。)

      (私が惚れてたのは、男としての『薫さん』でしかない…。女である本来の薫さんには惚れてないんだ…。)

      (……そう言えば、今日見た二度目の夢で、確か薫さんは自分のフルネームを言ってたような…。なんて言ってたのか、今は思い出せない…。)

      (アスパラ王国…だとか、私が姫に選ばれたとか…意味不明すぎて全然解像度が高まらない…っ。)

      (ピンクのドレスを着てたのは、覚えてるけど…。)

      (……ッ!い、いやいや!そんな夢の事なんてどーーーーーでもいいんだよッ!!今は、薫さんへの恋心と私の自我と意識の乖離について考えないと…っ。)

      (私は、薫さんへの恋情に、もっと酔っていたかったんだ…。)

      (何も見えなくなって、何も考えられなくなって、さっきの揮発性が高い情欲のような…っ。)

      (いや、それよりも別の…純粋で高潔…高潔?な、熱意と思春期の恋に溺れていたかった。)

      (そう…あれは、一言で表すなら『快楽』…?)

      (純粋に着飾りたいとか抜きで表すと、この言葉がしっくりくる。)

      (私は、恋することで分泌される脳内****に酔っていたいんだ…!)

      (私は、快楽が欲しいッ!!)

      (心、脳、身体、…そして、子宮。その全てから、快楽の奴隷になりたい…っ。)

      (ッ……///!…な、何を考えているの私はッ!!)

      (自分のエゴに正直になりすぎ!!恥ずかしいよ今の思考!!)

      (あ…っ、そんなことを考えてたら、また火照ってしょうがない、この身体…。)

      (このグチャグチャでドロドロな感情も、ネチョネチョしてるこの情欲も…全部、全部ッ、まとめて………)

      (『思春期』…なのかなぁ…。)

      (つくしちゃんが言ってたな…。『思春期によくあること』って。)

      (多分、私を励ましたかった一心で出た言葉なんだろうけど、ある程度核心は突いてるのかも。)

      (この迸る全ての『情熱的に揺れるような恋情』は、全てが思春期なのだろう。)

      (…まだまだ全然しっくりこないけれど、まずはまたしても火照った体をなんとかする方が先だ。)

      そうして、また私は自身の手とシャワーで自身を慰めた。
      愛液が染み出した湯は、引き抜いた。
      髪を洗い、体を洗い、そして、浴槽を洗う。
      ——そして私は、風呂を後にした。



    • 66 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -ましろの部屋-

      「…ふぅ。」

      (…はぁ。また私は、ここに来るまでに薫さんのことを考えてなかった。)

      (やっぱり、そんなに薫さんのことが本気で好きってわけじゃなかったんだ…。)

      (わた、私は…外見に惚れてた…だけ…っ?)

      (い、いやいや…っ!ちゃんと内面も見て惚れたもん!薫さんは内面も完璧な…王子様みたいな人で…っ。)

      (分かっている…こ、こんなにも薫さんの魅力を羅列してみても、やっぱり以前のように心がざわつかない。焦がせない。ときめけない。)

      (私はどうしたい?何がしたい?自分の感情が、自分のものなのに、手から飛び出してしまって…見つけられない。解らない。)

      答えが、夜の月に吸い込まれそうだ——

      -10分後-

      (んぁー!も、もうダメだ…!)

      (考えても考えても、同じ結論にしか行かない…っ。)

      (そもそも素のスペックが低いせいか、何度も同じところを堂々巡りしている…っ。)

      (まるで大きな輪の中をずーっと廻り続けるハムスターのよう。)

      (私は小動物で、自分の意思で苦悩と罪悪感の輪の中に乗った。そして廻り続けることを選び取った。)

      (だから、辛く感じることや抜け出したいと思うこと自体が…間違いなのかもしれない。)

      (やっぱり1人だとダメだな…。)

      (ずっと同じところにしかぶち当たらない。辛い。…一人で考え続けてちゃ、ダメだ…!誰かに話を聞いてもらわないと…誰かにこの気持ちを整理して…違う。誰かと二人で、この気持ちに決着をつけないと。)

      コンコン

      (その時、私の終わりのない思考を途切れさせるように、力強いノックを私の部屋の扉が受ける。)

      ましろママ「ましろ、そろそろ寝なさい。もう0時近いわよ?…明日は日曜日だからって、昼夜逆転しちゃダメ。」

      「ぁ…っ、わ、分かったよ…ママ…。」

      ましろママ「…そう。じゃあ、おやすみ。」

      「お、おやすみ…なさい…っ。」

      私はこれを、丁度いい機会だと思った。
      このまま考え続けても埒があかない。
      なによりも、こうして考え続ける事は私の性に合わない。
      …深く息を吸い、自分を宥めるように深い闇に同化していく。



    • 67 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      日曜日。
      私はいつものように悪夢に苛まれながら、最悪の目覚めを迎える。
      カーテンの隙間から差し込む太陽光が鬱陶しくて、わざわざカーテンの前に立ち、カーテンをピッチリ隙間なく閉める。

      (きょ、今日は…日曜日、だ…。)

      (っはぁ…っ。こんな事でくだらなく悩み続けるのは、私ぐらいなんじゃないかな…っ。)

      (なんの自慢にもならないし、むしろマイナスステータスだよ…っ。こんなんじゃ…っ!)

      ここで私は、ある思案が思い浮かぶ。
      —-気分転換に、外を歩いてみよう…と。
      早速、洗面台に行って顔を洗い、髪を梳かして整え、歯を磨く。
      日曜日に自発的に行動するなんて、珍しいな…そんな風に自嘲する。

      (…服とかよく分からないけど、気分転換に外歩くだけだし、そんなに飾らなくても…いいよね?)

      (取り敢えず、いつも着てる私服でいいや。)

      部屋に戻り、箪笥を開けて“いつもの私服”を手慣れた動作で選び取る。

      (タイツは…履かなくても、いいかな。今日は暖かいし。)

      そうして黒タイツを選ぶ手を止め、短い白靴下に手を伸ばす。
      …足がスースーするが、気にしない。

      (ほんっと、日曜日に外に出るのは…初めてだなぁ…。)

      (いつもは家に篭って作詞したり、ゲームしたり、お絵描きしたり…本当に陰キャだよなぁ…。)

      (これも……薫さんに一時期でも恋をしたおかげ、なのかな?)

      (流石に薫さんを買い被りすぎかな…。)

      (でも、どうなんだろう…。)

      (少なくとも、今までは気恥ずかしくて書けなかったラブソングが書けるようにはなった。それだねでも、大きな変化…と言え……ないね。それは、小さな変化でしかないから。)

      思索しながら階段をいつもの歩行速度で降りる。
      白靴下で歩く階段の踏み心地は、何故かとても新鮮なものと感じた。
      —–日曜日に外に出る。それがとても新鮮なものだから、相乗効果でそう感じてるだけなんだ。

      「ママ…パパ…外に出かけてくるね。」

      ましろママ「いってらっしゃい。」

      ましろパパ「…ちゃんとスマホは持ったか?18時までには帰って来いよな。」

      「うん、スマホちゃんとあるよ…。あ、必ず18時までには…帰ってくるよ…。えへへ…。」

      ましろパパ「それならよろしい。…行ってらっしゃい、ましろ。」

      「い、行ってきます…。」

      玄関のドアの柄に手をかけながら鍵を開け、そのまま歩き出す。
      —–日曜日の朝って、こんなに新鮮なものなのか。
      私はあまりの爽やかさに、思わず感嘆する。



    • 68 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (…外に出たものの、どこに行けば良いんだろう…。)

      (………と、取り敢えずCiRCLEまで…いやいや、財布持ってきてないから無理…っ。)

      (うーん…近所の公園まで、歩こう。うん。)

      -xx分後-

      (……あ、あれ…。)

      計画もなく、ぶらぶらとほっつき歩いただけでCiRCLEの近くについてしまった。
      どれだけ歩いたのだろうか。足がパンパンで、今すぐどこかのベンチに座りたい気分だ。
      陽も照りつけが激しくなり、若干気持ち悪くなる。

      「うっ…。吐きそう…っ。」

      日曜日に外になんて出歩くから…。
      いつも通りに、家に篭っていれば良かったのに。
      自分の思考、思いつきを呪う。
      いくら暖かくなると予想したとはいえ、これは想像を遥かに超えている。
      取り敢えずと言わんばかりに、CiRCLEまで歩み寄り、CiRCLEの中に入った。

      ウィーーン

      「っはぁ…!っはぁ…!…うっぷ。」

      「…っ、ま、ましろちゃん!大丈夫…?」

      「…んぐっ、は、吐きそ…。」

      「じゃあ私と一緒にトイレまで行こう!」

      「わ、分かりました…。」

      この時点で、若干熱中症になっていた。
      吐き気がこみあげて、中に入った時点で冷房との相乗効果で吐きそうになっていた。
      まりなさんの目に運良く止まったので、何とかなったが。

      -CiRCLE 女子トイレ-

      「…大丈夫?落ち着いた?」

      「ぁ…っ、は、はい…っ。…ゔっ!」

      「あ、そ、そんなすぐ落ち着くわけないよね…。」

      まりなさんが優しく私の背中を摩る。
      こんな虚弱体質な私にも懸命に付き合ってくれるまりなさんは、まるで聖母マリアのよう。
      ——今頃、他のバイトの人が代わりに受付してるのかな。



    • 69 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -xx分後-

      何回トイレの便器に向かって吐いていたのだろうか。
      xx回目でやっと胃液も含めて全て吐き出したのか、吐き気が収まった。
      まりなさんの時間をだいぶ食ってしまった…私は後悔の渦に飲み込まれる。

      「ま、まりなさん…っ、ご、めんなさい…っ。」

      「…?別にましろちゃんが謝る必要なんてないけど…。どうしたの?」

      「あっ…えっとその…まりなさんの時間を、食ってしまって…すみません…っ。」

      「別に良いよ。熱中症の顔見知りが目の前で倒れてて、助けないわけにはいかないし。」

      「あ、あぁ…ありがとう、ございます…っ。」

      (ん…?)

      ふと気づく。
      まりなさんのセリフ、どこかで聞いたことがある…と。
      ——そう、それは紛れもなく木曜日の薫さんと似たようなセリフだった。
      ……あれ?薫さんの事を、ふと考えている自分に首を傾げる。

      「…吐き気が収まったなら、取り敢えずトイレから出て休憩しようか。長居してると他の子達にも迷惑だし。」

      「ぁ、は、はぃ…。」

      吐瀉物まみれの便水を流し、2人でトイレを後にする。
      昼が近くて日曜日だからか、トイレには人がいっぱい居る。
      私とまりなさんがトイレから出た瞬間、私の吐瀉物の匂いがトイレ全体に充満してるのか、顔を顰める人々を大量観測する。

      (み、みんなに迷惑かけちゃった…。)

      私は心の中で深く猛省する。
      せめて、帽子でも被って、水分を携帯していれば良かったのに。
      本当に本当に、浅はかだ。
      だから、先週の日曜日も迷子になったんじゃないのか。
      私の思慮の浅さに、私が驚愕する。



    • 70 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「自販機で飲み物買ってくるから、少し待っててね。」

      「はい…。」

      私はなんや感やあって、ソファに座ることとなった。
      まりなさんがズボンのポケットからがま口財布を取り出し、外にある自販機に向かう。
      —–一時的に吐き気が収まったものの、いつまた吐くか分からなくて、私は両目を右腕で隠した。
      今日は日曜日で、今は昼近いから人がいっぱい。またこみ上げてくるかもしれないのがとても怖い。

      (早く来てくれないかなぁ…。)

      「…ましろちゃん、飲み物買ってきたよ。」

      「…っ!?あ、ありがとうございます。」

      (ポカリか…。まあ、いいか。)

      まりなさんからポカリを受け取った私は、ポカリを両脚に挟んで力を入れてキャップを開ける。
      そうして、ポカリを口に運ぶ。

      (……っ!お、美味しい…!)

      「…も、もう大丈夫そう?」

      「……ん、ぐっ。ップハァー…だ、大丈夫です。もう収まりました。)

      「そっか。…じゃあ、私は仕事があるからここで。」

      「あ、ありがとう…ございました…。」

      「どういたしまして。」

      そうしてまりなさんは私にウィンクをした後、踵を返して仕事に戻る。
      まりなさんの服にさっきの吐瀉物の気持ち悪い臭いが染み付いていないかとか、そんな心配が頭によぎる。

      (………はっ!)

      (きょ、今日は私…気分転換に外に出たのに…。)

      (いつの間にか、忘れちゃってる…っ。)

      (というか、この複雑な感情を誰かに相談してラクにしてもらうんじゃ…無かったの?ねぇ!)

      眉間に皺を寄せ、自分を怒った。
      そしてまた、ポカリのキャップを開けてはポカリを飲む。
      暑さで頭がやられていたのか、気持ち悪さに思考回路を麻痺させられたのか、私はついこの時まで目的をすっかり忘れていた。

      (うーんでも、私お金もないし…。)

      (い、家に帰ろう…かな…。)

      (い、いやいやでもでも…今は陽が強いし…また外に出たら、今度こそひどい熱中症になる…っ!)

      (でも、ここにずっと居るのも迷惑だし…。ど、どうしよ〜!)

      結局まとまらず、私はソファに座ったまま。
      どんどん時は過ぎ、とうとう完全な昼になったのか、人の多さが最高潮になる。



    • 71 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      不躾に、CiRCLE内を見渡す私。
      端から見れば、完全な不審者か、迷子になって不安になっている子供だろう。
      だけどやる事がないので仕方ない。
      外の陽の照りつけもまた、最高潮になっているので今外に出たら帽子がない私はさっきよりも酷い熱中症になる。
      かといって、お金もないから昼ごはんも買えないし、何も出来ない。
      まりなさんが買ってくれたポカリを飲むことしか、出来ない。

      (うっ…!)

      (ポカリガブガブ飲んでたら、トイレ行きたくなった…!)

      ポカリを飲むことしかやることが無かったからか、ポカリを容器の半分になるまで飲んでいた私は当然ながら尿意に襲われる。
      私の足は、トイレへと向かう。

      (さ、さっきのゲロの臭いがするトイレは…使わなくても良いよね…。なんて…。)

      (だって、ゲロの臭い付きトイレなんて無理だし…。あとで清掃員さんがなんとか掃除してくれるでしょ…。)

      そうしてさっきとは別の個室に入って小便を済ませる。
      トイレから出た後、不思議とさっきまでトイレ全体に漂っていた強烈な吐瀉物の臭いは9割方抑えられていた。
      まだ1割微かに臭うけれど、気になるほどではなかったし貰いゲロするほど強烈ではない。
      ——またソファに戻ろうとしたその時、私はあるものを発見する。

      「……。」

      (は、ハロハピの…ポスター…。ミッシェルと、薫さんと、花音さんがいる…。)

      (はっ、いやいや!そんなこと分かってるんだよ!…えっと、なにこのポスター?)

      「日曜日に…ライブを、します…。に、日曜って……。」

      (今日じゃん——-)

      (14時…から…か。)

      (…ど、どうしよう。)

      (行く…?でも行ったら、なんか吐きそうで怖い…。)

      (と、取り敢えずスマホで今の時間を見てみよう。)

      (じゅ、12時36分…。まだ、2時間ぐらいあるじゃん。)

      (行くか行かないかは、もうちょっと後で決めても良いかな。)

      思考がまとまった私は、ソファへ歩みを詰める。
      ソファにはまだ私のポカリがあって、私は『盗まれて居ない』と安堵を零す。

      グーーーー…

      (ぁぅ…っ。)

      (お腹すいた…。)

      (で、でもお金ないし…ど、どうしよう…。このままライブに行ったら、絶対倒れちゃう…っ!)

      (だ、誰か知り合い居ないかな…。)

      救いを求めるように、人混みを見渡す。
      ……居ない。顔見知りレベルですら、全然居なかった。
      やっぱり、人混みの中を探すのは無謀極まりないと、私は視線をポカリに戻した。



    • 72 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (も、もう一度…探してみよう…!)

      (きっと…居るはず…!こ、こんなに人が居るんだから、さ…!)

      また人混みを懸命に見つめる。
      今度こそ顔見知り程度でもいいから引っかかって欲しいと、藁に縋る思いで真剣に見つけようとする。
      ——–すると、とある顔見知りと目が合った。
      その顔見知りは歩を止め、私の方に歩み寄ってくる。

      (…ぁっ。こ、この人は…っ。)

      「ましろちゃん、さっきからこっちを見つめてどうしたの?」

      「ぁ、えっと…その…ぉ。」

      (まさかこの人が引っ掛かるなんて、思いもよらなかった…。)

      「…用がないなら…」

      「あの!」

      この人でも救いがないと困ってしまう私は、大声を出して引き止める。

      「お、おきゃね…お、おかっ、お金がないんです!!」

      「………。」

      涙目で、必死に訴える。
      —–これではまるで、乞食ではないか。
      みっともなさ120%な私にようやく私が気づき、ソファに腰を掛ける。

      「………はぁ。しょうがないわね。…で?私に何を買って欲しいの?」

      「えっと…お、お昼ご飯…。」

      「声が小さくて聞こえないわ。」

      「お昼ご飯ッ!!買って欲しいんですぅッ!!」

      一度呟くが、それは群衆の雑音に消える。
      もう一度、私は大きな声で叫ぶ。少し胃液が込み上げてきたが、それは飲み込んだ。
      千聖さんは、やれやれと言わんばかりのポーズをして、高級そうな白い小さな鞄からクリームイエローの長財布を取り出す。

      「分かったわ。…ついてきなさい。」

      「は、はい…。」

      圧をかけるように、私へドスの利いた声で話しかける。
      そして、置いていくぞと言わんばかりに早く歩くので、私もポカリとスマホを持って、必死に千聖さんの歩行速度に追いつこうと小走りでついていく。



    • 73 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -CiRCLEカフェ-

      運良く、一席空いていたので私と千聖さんはそこに滑り込むようにして座る。
      千聖さんは、私に大きな声で問いかける。

      「ましろちゃん!お昼ご飯、何が良い?」

      「…ひうぅっ!…あ、じゃあ、ミートスパゲティで…っ!」

      「ミートスパね、分かったわ。」

      「ここから絶対に離れないように!」

      私に釘を刺すように大きな声で注意喚起して、私を一睨みした後に人混みの中に長財布を持ちながら消えていく。
      千聖さんの態度や言動がいちいち怖くて、常に軽く萎縮してしまう。
      まるで肉食動物に黙って脅されて怯える草食動物のように。
      —–外は暑く、人も多いため、私はまた吐き気が込み上げそうになり、その度にポカリを飲む。
      ポカリは既に半分以下になっていたので、私は慎重にポカリをちょびちょびと口に含んだ。
      幸い、上には青と白のパラソルがあるため、熱中症になるリスクが低減されている。

      (今、何時だろう…。)

      (13時…20分…。ヤバい…かな?)

      時間を確認して若干焦り始めた私の元に、千聖さんが帰還する。
      長財布を白い鞄に仕舞い、両腕をテーブルに乗せた千聖さんはその後すぐに頬杖をついて私に聞く。

      「ましろちゃん、今日はなんでここに来たの?」

      「えっと!………。」

      なんで答えれば良いのか分からず、左下を見つめる。
      千聖さんは苛立ったように、もう一度大きな声で同じ質問をする。

      「なんで今日はCiRCLEに来たの?教えて!」

      「っひゃっ…!あ、えっと……ッ!!は、ハロハピのライブに来ました!!!!」

      勢い任せで叫ぶ。大衆の視線の一部がこちらに向いているのを感じる。
      私は視線に恐怖して縮こまる。
      —–何を言っているのか、私は。元々はただの気分転換に歩いてたら偶然CiRCLEの近くまで来てしまっただけなのに。ハロハピのライブが今日やるなんて、CiRCLEに来るまで知らなかったのに。
      …恐る恐る、千聖さんの方に視線を向けると、左上を見つめて冷めている千聖さんが答える。

      「私もなのよね…。あ、花音の勇姿を見に来ただけよ?」

      「は、はぁ…。」

      「…ましろちゃんは、ハロハピが好きなの?」

      「えっ!?わ、私の推しバンドは、ポピパですっ!」

      「ふーん…じゃあ、なんでハロハピのライブに赴こうとしたの?」

      「そ、それは…。」

      なんでだろう。ハロハピのライブに行けば、私の薫さんに対する感情に決着が付けられると思ったから?
      でも、これを千聖さんに言ったら間違いなく電波扱いされるから、取り敢えず無難な対応をする。

      「み、ミッシェルが可愛かったから!」

      「……あ、あらそう。」

      私は立ち上がり、机を左手で叩いて目を輝かせていった。
      確かにミッシェルは可愛いし、私もミッシェル好きだから……。
      でも、なんでこんなに演技しようとしてるんだろう?ミッシェルが好きなのは、本当なのに…。
      いつの間にか、自分の感情全てに…自信がなくなっている?



    • 74 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      千聖さんがドン引きしたような声色で呟いた後、私のことを珍獣を見るような目で見てきた。
      私は我に返って恥ずかしくなり、顔を赤くしながら椅子に座る。
      —–そうしているうちに、メニューが届く。

      店員「お待たせしました。ミートスパゲッティと、ボンゴレパスタです。」

      (へ、へぇ…千聖さん、ボンゴレ頼んでたんだ…。)

      「さっさと食べるわよ。早くしないと、ライブが始まってしまうわ。」

      「っ、は、はぃっ…!」

      千聖さんに急かされ、私はいつもの2倍早くパスタを食べ進める。
      千聖さんも千聖さんで、真剣な目でボンゴレを平らげる。
      …そうして、千聖さんが完食して私も遅れて完食する。

      「ましろちゃん、これで口拭いてちょうだい。」

      「あ、ありがとうございます…。」

      CiRCLEで、ポケットティッシュを渡されるのもなんか似てる。
      今日は全体的に、デジャヴを感じる事が多い。
      千聖さんから受け取ったポケットティッシュは、とても肌触りが良くて『やっぱり千聖さんはお金持ちなんだなぁ』と言うことを再認識した。
      口を拭き終わった私に、千聖さんは大きな声で言う。

      「そのポケットティッシュは返して。あと、拭き終わったあとのティッシュはゴミ箱に捨ててちょうだい。」

      「は、はい、分かりました!」

      薫さんと違って、ポケットティッシュの返還を要求するあたり性格の違いを感じる。
      だけど、私にわざわざご飯を奢ってくれた千聖さんは性格悪いだけじゃないと認識を改めた。

      —–使ったティッシュをゴミ箱に捨てた。
      そして私と千聖さんは、ライブ会場まで急いでいた。
      今の時刻は13時56分。あと少しでライブが始まってしまう。
      私はがむしゃらに、全速力で走った。



    • 75 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -ライブ会場-

      「っはぁ…!っはぁ…っっっッ…っはぁ…!」

      「ごめんなさいね。ご飯食べたすぐ後なのに全速力で走らせてしまって。」

      「あ、いいんですよ…ノロノロ歩いてたら間に合いませんし…。」

      なんとかライブ会場に着いた。
      ギリギリ間に合ったみたいで、安堵する。
      千聖さんがこちらに申し訳なさそうに謝っていて、なんだかとても意外なように感じる。
      ——外に出てよかった。怖い・性格悪いだけだと思っていた千聖さんの意外な優しさを知れたから。
      今日はこれだけでも収穫もん…というわけにもいかない。
      私のこの気持ち悪い感情に…決着をつけたい。
      …でも、もう既に大半は消えているような?時が癒してくれるというのは本当なんじゃないか。
      ラクな方ばかり選んでたら、また前みたいなダメ人間に戻っちゃう…!

      (今は…14時02分…か。)

      まだハロハピの面々は来ない—–。



    • 76 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「みんなーーーーーーーー!!!!!こんにちはー!!!!!!」

      「っ…!?」

      (声デカッ…!)

      ——ヒーローとは、遅れて来るものだ。
      時間通りに面々が来ず、観客がどよめき、不安がっていたが…。
      そんな陰鬱な空気を、爽快な一声でぶち壊してくれた。彼女の名は………えっと……。

      (そう言えば、ハロハピのボーカルとベースの人の名前…知らないなぁ…。)

      「遅れてごめんなさいっ!あたし、弦巻こころ!ハロハピのボーカルよ!」

      (こ、こころ…っ。ボーカルよ名前は…『弦巻こころ』…か。)

      「レディースアンッ、ジェントルメン!」

      「っ…!ぁ…。」

      キャーーーー!! 薫サマァー!!! 好きぃー!!!! 薫様本当素敵ですわー!!

      王子様が登場すると、会場が喜びのイエローに包まれる。
      黄色い歓声は、甲高くて…少し耳障り。

      「ハロハピのギター、瀬田薫だっ!」

      (あ、せ、瀬田薫が…フルネームか…。)

      (そう言えば、夢の中でも確か『瀬田薫』って言ってたな…。そして…。)

      (木曜日、七深ちゃんも『瀬田薫』って言ってた…。わ、私の記憶力…弱すぎ…っ!?)

      薫さんはポーズをキメて、キメ顔をしている。
      —–あぁ、私が最初見た時に『ないな…』って思ったのはこういうところだという事を思い出した。
      なんだかとてもナルシストで、気持ち悪いとすら思ってしまった。
      そんな相手に、まさかマジ惚れするなんて思わなかったな。人生って、分からないものだ。

      「全く…また変なポーズしてる…。」

      真横にいる千聖さんが、不機嫌そうにボソッと吐き捨てる。黄色い歓声が響き渡る中、憂いや呆れを帯びたブルーの独り言は、スッと耳に入った。

      「じゃじゃーん!ハロハピのベースの北沢はぐみだよっ、よろしくねーっ!」

      (あ、ベースの人は『北沢はぐみ』なんだ…。にしても、こっちもこっちで男みたいな見た目してるな…。)

      オレンジのライトがはぐみさんを照らす。
      先ほどまでうるさいほど響いていた黄色い歓声は鳴り止んだが、代わりに『はぐちゃーん!』と言った声が聞こえる。



    • 77 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「ドラムの、ま、松原花音ですっ!よ、よろしくお願いします!」

      ドコドコドコドコ

      (あ、花音さんの苗字は松原か…。)

      「かのん!かのん!かのんだぁー!!」

      (…ほ、本当に千聖さんって花音さんのこと好きなんだね…。)

      花音さんにスカイブルーのライトが照らされる。照れ臭そうに自己紹介をした後、ドラムをドコドコと叩くのは照れ隠しだろうか。
      真横にいる千聖さんが、今度は喜びのイエローに包まれながらウィスパーボイスで花音さんの名前を呟いて、顔を少し赤く染めながらその場で二、三回小さく跳ねた。

      「ボク、ミッシェルだよー!DJ担当だよー!」

      「…っ。」

      ミッシェルが自己紹介して、DJのスクラッチを鳴らす。
      マゼンタのライトで照らされたミッシェルは、左手を振っている。
      私は喜びたいのに、何故か萎縮してしまって弱々しく手を振るだけになってしまった。
      本当は叫びたいのに、やっぱり脳と心と体が連動してない。
      —–これも、あの王子様のせいだ。



    • 78 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>77修正

      花音さんがスカイブルーのライトに照らされる。



    • 79 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      自己紹介が終わって、こころさんがトークをし始める。
      その間に、私は尿意に襲われてトイレに行くためにライブ会場を出る。

      トイレで用を足し終えた。
      ライブ会場に小走りで戻ると、もう曲が始まっていた。

      (な、なんなんだろうこの曲…。)

      (ハロハピなんて全然興味無かったから、一曲も知らないや…。)

      (千聖さんに聞いてみ………あれっ!?)

      千聖さんがいると思って真横を見てみたら、知らない女の人がいた。
      私がトイレに行っている間に、場所移動でもしたのだろうか。
      でも、前の私とは違ってもう迷子にはならないし大丈夫だろう。私を信じろ、私!

      ———–

      ジャーーーーーーン

      「…これにて、ハロハピのライブは終わりよっ!みんな、お疲れー!」

      「次回のライブは再来週の月曜日。みんな、来てくれ。」

      やっとライブが終わった。
      ここまで長かったなぁ…。少し足が痺れる。棒立ちし続けてたせいだ。

      (それにしても、こころさんはあんなに歌ったっていうのに、まだよく通る声が出るなんて凄いなぁ…。)

      (私なんて、ライブ終わったら声ガラガラでボソボソとしててよく代わりに透子ちゃんやつくしちゃんに言ってもらうことが多いのに…。)

      (やっぱり、気力の違い?あっちは陽キャだから?…分からない。私とこころさんは違う人間だし…。)

      薫さんは相変わらずカッコいい低音ボイスで、次回のライブの日付を発表する。
      その間も黄色い歓声がやはりと言わんばかりに湧き、私はほんの少しの間耳鳴りに苦しむ。



    • 80 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「最後にー!」

      「…えぇっ!?」

      素でドン引きした情けない声を出してしまった。
      ライブが終わったかと思ったら、まだあるなんて知らなくて。
      でも、ほとんどの人は立ち退いていなかった。これはハロハピのライブにおいて重要なことなのかな?

      「「ハッピー!」」

      ハッピー!

      「ラッキー!」

      ラッキー!

      「「スマイル!」」

      スマイル!

      「「「「「イェーイ!」」」」」

      イェーーーーーイ!

      「では、さようなら!」

      「…ぇっ。」

      私は、どの掛け声も発さなかった。
      ただ呆然と、声を漏らすことしか出来なかった。
      こんなにも熱気に包まれ、ファンとハロハピが一体化するなんて。息を呑んだ。
      そして、真にハロハピのライブが終了した。
      ライトも消え、観客たちは終わったと言わんばかりに息を漏らしてぞろぞろと帰り始める。
      この熱気に当てられたのか、私は少しだけ停止しながら、そして群衆に合わせてライブ会場を抜ける。



    • 81 名前:匿名スタッフさん ID:5YTA5NzN[] 返信

      花音に興奮してぴょんぴょんする千聖ちゃん可愛すぎる>>77



    • 82 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (……なんだか、どっと疲れた。)

      (流石にハロハピは陽キャ過ぎるよ…。いきなりこころさんが空飛んだり、はぐみさんがダンスし出したり、薫さんが赤薔薇の花びらをばら撒いたり…。)

      (…今、何時?)

      (……。16時02分…か。)

      (18時までには帰れって言われたけど…。い、いや今からでも帰れないことはないんだ…。だけど、この感情を誰かと話し合って決着つけたい…!)

      (また帰って一人で考え込んでも、昨日みたく気持ち悪いこと考えたり変なことしちゃうから…もうそれは嫌だ…。)

      そんなネガティブな愚痴を心の中で吐き散らし、人混みの中で足を止める。
      昼頃と同じように、またあちこちを見回して顔見知りや知り合いを探す。
      ——すると、小動物のような女の子が目に入る。

      (あ、あの子…あ!…り、りみさんだ…っ!)

      (ポピパの……り、りみさんなら、声をかけやすい…かも。)

      (そうと決まれば行け!りみさんがCiRCLEを出て行く前に!)

      りみさんはソファに座ってスマホの画面を見つめていた。
      りみさんが家に帰ってしまう…CiRCLEを後にしてしまう前に、私はりみさんのところまで小走りで近づき、そしてりみさんに声をかける。

      「…っ、り、りみさん…っ!」

      「……っひゃ!?な、なに……って、ましろちゃん?」

      「あ、あの…!話…聞いてもらえませんかっ!」

      「…い、いいけど…。どうしたの?」

      懇願する。頭を下げて。りみさんにも聞こえるように、精一杯の大声を出して。
      りみさんは、優しい性格だからかすぐに承知してくれた。
      そうして、私たち2人はCiRCLEのカフェに移ることとなった。



    • 83 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -CiRCLEカフェ-

      昼とは違う席に座る。
      私はお金がないので、りみさんが代わりに2人分の飲み物を買っている。

      (…帰りはどうしよう。)

      (外は暗くなるだろうし、お金持ってないから電車で帰ることも出来ない…。)

      (こんな事になるなら、あらかじめお金も持ってくれば良かったなぁ…。)

      (本当に私って、準備が足りてないというか…。)

      「はぁ…。」

      心でまた愚痴を吐き、そして口からため息を出す。
      …りみさんが、飲み物を両手に持って帰ってきた。どうやら財布はあらかじめ持ってきたピンクの小さな鞄に入れてあるらしい。

      「そ、それで…話って何…?」

      「あ、えっと…。簡単に言うと恋の話なんですけど…。」

      「ふぇぇっ!?こ、恋かぁ…///…で、出来る限り聞くよ…。」

      りみさんは『それは専門外だ』と言わんばかりに驚いて、そして分かりやすいほど頬を染める。
      私は深呼吸して、気持ちを落ち着かせてから話す。

      「先週の日曜に、瀬田薫さんに恋をしたんですけど…。」

      伏し目がちでたどたどしく話す私。
      人の目を見て話すなんて出来ないし、りみさんも私と同じ人見知り系だから、許してくれるかなとチラッとだけりみさんの方を向く。
      するとりみさんは顔をさっきよりも一層赤く染め、吃りながら驚愕する。

      「…っえぇ!?か、薫さんに…こ、こここここここいしたの!?」

      「あ、でも…。」

      「……。でも…?」

      「その時は、薫さんのことをお、男だと思ってたんです…っ。」

      「へ、へぇ〜…。」

      私が新事実を話すと、りみさんの目は大きく開いてパチパチとした。

      「で、でも…モニカのみんなにこの事を話したら…薫さんが女だと言うことが判明して…。」

      「…ま、まぁ薫さんめ〜っちゃカッコいいし、男と間違えるのも無理ないよ〜♡」

      「…っ、はぁ…。」

      りみさんは先程とは打って変わって目がトロンとし始め、両手を組んで右頬に当てる。
      …もしかして、りみさんは薫さんのファンないし薫さんに惚れているのでは?という可能性が私の脳裏をよぎる。
      もし薫さんが好きでファンなら、より一層話しやすくなるからとても助かる。

      「そしたら、何故か急に冷めたっぽくて…。」

      「…あ、あ〜…そ、そうだよね。」

      私の言葉を聞いた瞬間、りみさんの頬はいつもの肌色に戻る。りみさんは苦笑いをして流し目になる。
      声色も、さっきとはテンションが全然違う。

      「で、でも…!夢の中で薫さんが出てきた時はドキドキしたりっ、か、薫さんに全く恋をしなくなった…とは言えなくて…。」

      「……。」

      りみさんは一言も発さず、唖然とした状態になっている。
      私と言えば、この複雑な感情の具現化に苦しんでいてどう表現すればいいのか分からない。
      自分でも思う。なんだこの中途半端な奴ってね。



    • 84 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      「つ、つまり…。」

      「つまり…?」

      「私は薫さんに恋をしなくなったのか、未だに恋をしてるのか…りみさんに判定してもらいたいんです…。」

      「……。先に言っておくけど、私は頭が悪くて論理的でもないから頓珍漢な答えになると思う。それでも良い?」

      「…はい。」

      「今のましろちゃんは、薫さんに恋をしてないんだと思う。男だと思っていた想い人が女だと分かった時点で冷めたんだよ。…けど、ましろちゃんは…男とか女とか関係ない『瀬田薫』っていう人間の事が…好きなんだと思う。」

      「……っ!」

      (あ、あぁそうか…。私の本当の感情は…それだったんだ。『男としての薫さん』という架空の王子様に恋をして…そしてその王子様が女だと知った時に私の恋は冷めた。けれどまだドキドキはする。…この感情って、瀬田薫という人間自体が好きだったから生まれた感情なんだろうね…。)

      「あ、えっと…。りみさんに話を聞いてもらって、本当に感謝しています…。」

      「あ、あぁうん…。役に立ったなら嬉しいかな。」

      「私、薫さんが女だと判明してから生まれた複雑な感情についてずーっと一人で考えてたんです。けど、何度も同じところにぶつかるだけで答えが分からなくて…っ。今日は、その答えを導き出してくれる第三者に会って、この感情に決着をつけたかったんです…。」

      「……ましろちゃん、今日は本当にそれだけの為に来たの?」

      「……ぅぇっ!?」

      「本当は、飽きるまで話を聞いてもらって共感して欲しいんでしょ?」

      「ぁ…っ。」

      「…いいよ。話、聞いてあげるから。」

      「あ、ありがと…っ、ございます…っ。」

      そうして、私はりみさんに心に溜まった複雑な感情をぶつけた。
      りみさんは相槌を打ちながら、静かに私のこの止めどない感情を受け止めた。
      今までの出来事や行為も赤裸々に話した。夜の帳が下りるまで。



    • 85 名前:匿名スタッフさん ID:5NGRmZTg[] 返信

      りみりん…やはり天使だったか…(゚´ω`゚)



    • 86 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -18時-

      「ましろちゃんはとにかく考えすぎちゃうんだね…。」

      「ぁ、は、はい…っ。」

      「昔の私もそうだったな。何でもかんでもウジウジ考えすぎて、それでまたネガティブな負の思考ループにハマって…。」

      「で、ですよね…。なんか色々と考えすぎてしまうというか…。」

      「…でもね、考えない事も大事なんだよね。勢いに任せることが必ずしも悪い事じゃないって、香澄ちゃんから学んだんだ。」

      「……っ!か、香澄さん…凄い…ですね。」

      「考えずに、ただ自分の気持ちに正直になれば良いよ。そうすれば自ずと答えが見えてくるから。」

      「あ、ほ、本当に…話を聞いてくれて、ありがとうございました…っ。」

      「いいよいいよ。私に相談して、ましろちゃんの気が晴れたならそれでも。」

      「ぁ…っ。」

      「…それじゃあ、私はもう帰るね。ましろちゃん、バイバイ。」

      「……。」

      (あ……。)

      「ま、待ってくださいりみさんっ!」

      「…何?」

      「わ、私お金なくてっ!あの…その…だから…!」

      (うぅ…こ、言葉が出てこない…っ。)

      「あー…じゃあ、私と一緒に電車で帰ろっか。」

      「……っ!は、はい…っ!」

      用が済んだとばかりにCiRCLEから去るりみさんを引き止め、一緒に電車で帰ることになった。
      もう夜空が広がっていて、星が綺麗。…じゃなくて、このままだと1人だし怖いしで散々だったから引き止めた。
      そして、私はりみさんのお金で切符を買って家に帰った。



    • 87 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -倉田家-

      ガラガラ

      「た、ただいま…。」

      ましろパパ「……おかえり。」

      「じゅ、18時までに帰れなくて…ご、ごめん…なさい…。」

      ましろパパ「あ、あぁ別にいいさ。木曜日みたく家に帰ってこないよりはマシだ。それにメールもしてくれたから大丈夫だよ。」

      「あぁ、うん…。」

      ましろママ「ご飯は?」

      「た、食べる…。」

      ましろママ「そう。今日はましろの大好物のビーフシチューよ。」

      「あ、ありがと…。」

      鼻腔をくすぐるいい匂い。紛れもなくビーフシチューだった。
      腹の虫がうるさく鳴り響き、私はごくり生唾を飲んだ。
      そうして、リビングの食卓まで足を運んでビーフシチューを食べるのであった。

      -ましろの部屋-

      (そ、相談出来たのはいいんだけど…。)

      (なんだかまた、考えたくなってきた…。)

      ベッドに寝転び、天井を見上げる。
      灯りのついてない、外から漏れ出る月明かりだけが部屋を静かに照らす。
      私は、また考えてしまいそうになる。

      (——いや、考えちゃダメ。これ以上考えるな私!)

      (そ、そうだ。ノートに今の気持ちを書き出せばいいんだ。)

      (アウトプットすることも大事だって、ネットの記事で見た…。)

      思いついて、そのまま体を起こして机に向かう。
      椅子に座り、机の上にある電灯の電源を入れる。
      作詞用のノートを広げ、シャープペンシルをカチカチして芯を出す。
      正直な気持ちを芯を通して書いてみた。



    • 88 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      (…ふぅ。)

      (要するに、というかこれだけだ。)

      (『男だと思い込んでいたから瀬田薫に恋をしていた。けれど女だと判明してからは冷めた。何故なら私は異性愛者だから。きっと女だと判明して無意識にガッカリしてたんだと思う。』)

      (『そして今は薫さんの事を考えることがめっきり減った。正直、薫さんに関心が行ってない。つまり恋をしていない。なのに、恋をしなきゃ・あの頃の気持ちを持続させたいという一心が私に罪悪感を芽生えさせた。“薫さんのことを考えてないなんてダメだ”という風に。』)

      (……なんだか、スッキリした。)

      (私はもう、薫さんに恋をしなくなったのだから、薫さんのことなんて考えなくていい。)

      (むしろ、女としての薫さんは…こう言っちゃなんだけど、嫌いだ。)

      そう心の中で宣言した途端に、とてつもない爽快感が私を襲う。
      あぁ、そうか。自分の感情に正直になるってこういう事なんだ。
      今まで私を苦しめていた肩の荷が降りた。天使の翼が生えたように、私の体は軽やかになった。
      男としての瀬田薫が好き…でもそれは女だと判明した途端に消えた。女である瀬田薫は嫌い。だから私は瀬田薫が女だと判明した途端に瀬田薫の事を考えなくなった。

      そして、それに対して罪悪感を感じる必要も…もう無い。こんなにスッキリして、ハッカ油を嗅いだような爽快感に包まれているのに何を罪悪感に押しつぶされる必要があるのか。
      この恋心はあくまで男としての瀬田薫に向けられたものだ。私は、りみさんがいうように瀬田薫という人間が好きというわけではない。
      初対面の時の『ないなぁ〜』と言う気持ちに、もっと早く素直に従えば良かった。
      私の気持ちは私だけのもの。

      (安心したし、お風呂にでも入るか…。)

      そうして、私は自分の部屋を後にした。
      もう何も悩む必要も、考える必要もない。この恋心とはさよならだ。



    • 89 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      風呂から上がった。
      前の時と違って自慰もしなかったし、気持ち悪い考えをする事も無くなった。
      嫌うことは、悪い事じゃない。自分の感情と向き合わずに、罪悪感に操られて好きだと思い込み続ける方が心にとっては不健康な事。
      それに私は狂信的に病質を纏った“嫌い”なわけではない。子供が抱くニュートラルな“嫌い”だから健全だ。そんな健全な感情は、押し殺すべきじゃないんだ。
      自分に嘘をつく。これがどれだけ精神衛生に悪いかを、りみさんは教えてくれた。そして私はその真理に辿り着けた。
      明日の用意をする。今度こそはスクールバッグを忘れないように。

      (もう、寝よう…。)

      そうして明日の用意を終え、速やかに就寝した。

      -月曜日-

      朝。悪夢を見ずに、さわやかな目覚めを迎えた。
      自分に正直になろう。これからは。そう心の中で誓い、着替える。
      歯を磨き、顔を洗い、朝ごはんを食べて、遅刻をせずに月ノ森へと足を弾ませる。
      —–未だかつてこんなに足取りが弾んだことがあっただろうか。吹っ切れる事がこんなに気持ちいいなんて思わなかった。朝日が眩しく、けどそれは不快ではない。鳥の鳴き声。朝のひんやりとした神秘的な空気。そのどれもが私の心を浄化させる。

      -月ノ森女子学園 1年A組教室-

      「…おはよう。」

      「あ、倉田さんおはよう。」「おはよ。」「うっす。」

      珍しく、クラスのみんなに挨拶をした。いつもは挨拶なんてしないのに。

      「ましろちゃんおはよ。」

      「つくしちゃんもおはよう。」

      「ましろちゃんがクラスのみんなに挨拶するなんて、珍しいね。何かあった?」

      「——自分の感情に、やっと正直になれたの。」

      そう言って、私は照れ臭そうにはにかむ。
      つくしちゃんはキョトンとした顔で私の顔を覗き込む。そして不思議そうに首を傾げる。
      数十分話した後、朝のチャイムが鳴って、私とつくしちゃんはそれぞれ自分の席へと座る。



    • 90 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      -CiRCLE-

      私たちモニカは今、CiRCLEで練習をしている。
      曲は私が『男の薫さん』に恋していた頃に書き上げたもの。

      「〜♪」

      ジャーーーーーーン

      「…しろ、お前前より声の通りが良くなったな!それに歌詞間違いもしてねぇ!すげぇ!!」

      「そ、そうかな…。」

      「二葉さんから聞いたわ。自分の気持ちに正直になったのでしょう?」

      「う、うん…。」

      「もう薫さんの事はアウトオブ眼中〜?」

      「うん。もう薫さんに恋してないって自覚したから、薫さんの事を考えるのをやめたよ。」

      「そっかぁ〜。」

      「アウトオブ眼中とかふりぃ〜w」

      「…この曲、歌ってて恥ずかしくなったりとかはしない?」

      「もうしないな。私は過去の感情とは決別したから。この曲も、いい思い出だよ。」

      「…そっか。」

      (今日のましろちゃん、いつもと声のボリュームが違う。それに、とてもハキハキと喋ってる。…なんだか腑に落ちないけど、ましろちゃんが自分に正直になれたことは良いことだと思う。)

      「あ、そうだ〜。今日は広町おすすめの店でご飯食べな〜い?」

      「おっ、いいなそれ〜!何の店だ?」

      「激辛ラーメン専門店〜。」

      「…アタシは別にいいけど、しろとふーすけには毒じゃね?それ。」

      「うん…か、辛いのは…ちょっと…無理…。別の店にして欲しいなぁ〜…。」

      「私も辛いのは苦手だなぁ…。」

      「私は平気だけれど。」

      「そりゃルイはいけるっしょ。お子ちゃま二人組が辛いのダメなだけで。」

      「…い、今のは冗談だよね?七深ちゃん。」

      「え〜結構本気なんだけどなぁ〜。…じゃあ別のとこ行こっか〜。」

      私の平凡な日常は、こうして取り戻された。
      明日からはまた、普通の生活に戻る。正直少しだけ寂しいけれど、それもまた青春だと思うんだ。
      初恋なんてものは少し惜しいぐらいで丁度いい。それに、気持ちが離れてるのに離れてないと思い込むのは不健全だ。
      楽器を片付け、CiRCLEを後にする。

      -Fin.-

      —————-

      -おまけ・2月19日-

      寒い冬。そして、私の誕生日。月ノ森にも慣れたし、月ノ森生としての自覚も出てきた。
      モニカも人気が徐々に出てきた。私もバンド始めたての頃に比べたらだいぶ歌が上手くなった。
      —-もうすぐ進級すると思うとなんだか憂鬱な気分。そんな時に、ママから呼び声がかかる。

      ましろママ「ましろー、降りてきなさーい!瀬田薫さんから誕生日プレゼントが届いてるわよー!」

      「はーい!」

      階段を駆け降りる。真冬の空気はとても冷たく、部屋に出るのも億劫になるぐらいだ。
      急足で暖房の効いたリビングに辿り着き、冷気を入れぬようにドアをピシャッと閉める。
      なんで薫さんが私の誕生日を知っているんだろう。透子ちゃんが漏らしたのかな?
      ただそれは悪い気はしなかった。

      「…えっ。」

      ましろママ「何が入ってるのかしら。」

      「わ、私が開けるよ…。」

      段ボールの中をその場にあったカッターで開けると、高級そうな綿に包まれた詩集とメッセージカードが入っていた。
      香水なのか知らないけど、薔薇を中心としたフローラルな香りが漂う。
      メッセージカードを読み上げると、こう書いてあった。

      『ましろちゃんへ。誕生日おめでとう。by Kaoru』

      質素なお祝いだった。誰かが私が薫さんが嫌いだと漏らしたからかな?気を遣ってくれたのか。
      そんなことが脳裏をよぎる。
      あの時の初恋はとても瑞々しくて、心地の良いものだった。今となっては良い思い出だ。
      次に、詩集を開けてみる。—–シェイクスピアの詩と自作の詩が混ざっているようだった。読んでいると恥ずかしくなり顔を赤く染めてしまう。けれど、これは作詞のために使えそうだ。とっておこう。
      私は薫さんのこういうナルシストなところが嫌いだ。けれど、薫さんのサービス精神に溢れたところは好きだ。

      ましろママ「…私、お出かけに行ってくるわね。お留守番頼んだわよ。」

      「わ、分かった…。」

      お母さんがコートを羽織って外に出かける。私はリビングの暖房を消し、炬燵の電源を切り、リビングの電気を消して詩集とメッセージカードを抱えて自室に戻る。

      (薫さん、誕生日を祝ってくれてありがとう。)

      面と向かっては言えないけれど、心でお礼を言う。
      伝わってるといいな。

      -真のFin.-



    • 91 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      ここまで読んでくれてありがとうございます。
      誤字脱字が多かったり、>>90のように呼称がブレブレだったり、途中急にモノローグ・地の文を増やしてしまったり、変なシーン(>>63)を入れてしまってすみません。
      私のSSに対してコメントを寄せて下さった人に大変感謝しています。



    • 92 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      あと、後半薫さんのことをこき下ろすような表現を入れてしまいました。
      薫ファンの方、不快になったのなら謝ります。本当にすみませんでした。



    • 93 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      今気づいたのですが、月ノ森の挨拶は「ごきげんよう」でした。
      リサーチ不足ですみません。
      こんなグダグダなSSを見てくれる方には感謝しかありません。
      コメントしてくれた方のおかげで執筆を続けることができました。



    • 94 名前:匿名スタッフさん ID:zZDZlOGJ[] 返信

      恋愛のきれいな面だけじゃないことまで踏み込んで
      情念渦巻く読み応えあるお話だったと思います
      お疲れ様でした



    • 95 名前:匿名スタッフさん ID:jNzE1NDR[] 返信

      >>94
      そう言ってくれて嬉しいです!
      最後まで読んでくれてありがとうございます!



94件の返信スレッドを表示中
返信先: 【SS】ましろ「初めて情熱的に揺れるような恋情を体験した」

本トピックは、最後の返信がついた日から 14 日後にクローズされます。


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