【SS】走れ>>2【安価】

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105件の返信スレッドを表示中
    • 1 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      このssは太宰治の「走れメロス」のパロ安価です
      作者はss初心者かつ安価ssを書くのは初めてです
      至らないところがもあると思いますがよろしくお願いします

      「はめふら?」
      というssも現在更新中です
      そちらの方も読んでいただけると幸いです

      なお文章は青空文庫のものを参照しています

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      >>2は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。



    • 2 名前:匿名スタッフさん ID:0YzgxZDI[] 返信

      ましろ



    • 3 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      ましろには政治がわからぬ。ましろは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明ましろは村を出発し、野を越え山越え、十里は離れた此の商店街にやって来た。



    • 4 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      ましろには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な妹(>>5)と二人暮らしだ。



    • 5 名前:匿名スタッフさん ID:hYTA2NTg[] 返信

      麻弥ちゃん



    • 6 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      この妹は、村の或る律気な一牧人(>>8)を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。

      ましろは、それゆえ、花嫁の衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる商店街にやって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから商店街の大路をぶらぶら歩いた。



    • 7 名前:匿名スタッフさん ID:0NTE4NTB[] 返信

      加速



    • 8 名前:匿名スタッフさん ID:hOTAxNWJ[] 返信

      マスキング



    • 9 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      ましろには竹馬の友があった。>>10である。



    • 10 名前:匿名スタッフさん ID:jODEzOWR[] 返信

      六花



    • 11 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      今は此の商店街のライブハウスで、アルバイトをしている。その友を、これから訪ねて見るつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。



    • 12 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      歩いているうちにましろは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりとしている。もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当たり前だが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、商店街全体が、やけに寂しい。

      のんきなましろも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆(>>13)をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の商店街に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。



    • 13 名前:匿名スタッフさん ID:1NGFlNGE[] 返信

      りみ



    • 14 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      りみは首を振って答えなかった。

      しばらく歩いて老爺(>>16)に逢い、こんどはもっと、話勢を強くして質問した。



    • 15 名前:匿名スタッフさん ID:jODBiNWV[] 返信

      まりなさん



    • 16 名前:匿名スタッフさん ID:iZTk1MGE[] 返信

      オーナー



    • 17 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      オーナーは答えなかった。ましろは両手でオーナーのからだをゆすぶって質問を重ねた。オーナーは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

      オーナー「王様は、人を殺すんだよ。」

      「なぜ殺すのですか。」

      オーナー「悪心を抱いている、というんだけど、誰もそんな、悪心を持っては居ないよ。」

      「たくさんの人を殺したんですか。」

      オーナー「そうだよ、はじめは王様の妹婿さまを。それから、自身のお世嗣よつぎを。それから、妹さまを。それから、妹さまの御子さまを。それから、皇后さまを。それから、賢臣の>>18様を。」

      「おどろきました。国王は乱心ですか。」

      オーナー「いいや、乱心じゃないね。人を、信ずる事が出来ぬ、というんだよ。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居るよ。御命令を拒めば十字架にかけられて、殺されるんだよ。きょうは、六人殺されたね。」
       



    • 18 名前:匿名スタッフさん ID:4NmE2OWI[] 返信

      つくしちゃん



    • 19 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      聞いて、ましろは激怒した。

      「呆あきれた王だ。生かして置けない。」

      ましろは、単純な女であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ王城にはいって行った。たちまち彼女は、巡邏の警吏に捕縛された。

      調べられて、ましろの懐中からは短剣が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。ましろは、王(>>22)の前に引き出された。



    • 20 名前:匿名スタッフさん ID:2MmY0YjY[] 返信

      本日はここまでです
      安価に参加していただいた方々、ありがとうございました



    • 21 名前:匿名スタッフさん ID:mNjYxMWI[] 返信

      TOKO



    • 22 名前:匿名スタッフさん ID:1YzlmMDc[] 返信

      モカちゃん



    • 23 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「この短刀で何をするつもりだったのかな~。言っちゃいな~。」

      暴君モカは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。その王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。

      「市を暴君の手から救うんです。」

      とましろは悪びれずに答えた。



    • 24 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「あなたが~?」

      王は、憫笑した。

      「仕方の無い子だな~。あなたには、わたしの孤独がわからないよ~。」

      「言わないで!」

      とましろは、いきり立って反駁した。

      「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳です。王は、民の忠誠をさえ疑って居られます。」

      「疑うのが、正当の心構えなのだと、わたしに教えてくれたのは、おまえたちだよ~。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりだもの。信じては、ならないね~。」



    • 25 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。

      「わたしだって、平和を望んでいるんだけどね~。」

      「なんの為の平和ですか。自分の地位を守る為ですか。」

      こんどはましろが嘲笑した。

      「罪の無い人を殺して、何が平和なんですか。」



    • 26 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「だまりなさ~い、下賤の者。」

      王は、さっと顔を挙げて報いた。

      「口では、どんな清らかな事でも言える。わたしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならない。あなただって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かないよ~。」

      「ああ、王は悧巧です。自惚れていてよいでしょう。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしません。ただ、――」

      と言いかけて、ましろは足もとに視線を落し瞬時ためらい、

      「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の妹に、亭主を持たせてやりたいんです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」



    • 27 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「ばかな~。」

      と暴君は、嗄れた声で低く笑った。

      「とんでもない嘘を言うね~。逃がした小鳥が帰って来るというのかい。」

      「そうです。帰ってきます。」

      ましろは必死で言い張った。

      「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。妹が、私の帰りを待っているんです。そんなに私を信じられないならば、いいでしょう、この商店街に六花というライブハウスでアルバイトをしている者がいます。私の無二の友人です。あれを、人質としてここに置いて行きます。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのみます、そうして下さい。」



    • 28 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      それを聞いて王は、残虐な気持で、そっと北叟笑んだ。

      (生意気なことを言うね~。どうせ帰って来ないにきまっているよ~。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白いね~。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられないと、わたしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるんだ~。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものだね。)



    • 29 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「願いを、聞いたよ~。その身代りを呼びなさい。三日目には日没までに帰って来なさい。おくれたら、その身代りを、きっと殺すよ~。ちょっとおくれて来たらいい。あなたの罪は、永遠にゆるしてあげるよ~。」

      「なに、何をおっしゃるのですか。」

      「はは。いのちが大事だったら、おくれて来なよ~。あなたの心は、わかっているよ~。」

      ましろは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。



    • 30 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      竹馬の友、六花は、深夜、王城に召された。暴君モカの面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。ましろは、友に一切の事情を語った。六花は無言で首肯き、ましろをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。



    • 31 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      今日はここまでです

      ここまでの文章は基本的に太宰治の『走れメロス』をコピペしたもので、一部の設定や安価のキャラに応じてセリフの口調を変えているだけです

      正直このままだとあまり面白くないので、明日からはもっとss風に書き方を変えて書いていこうと思います

      また登場人物以外の安価をしたり一部の描写を削ったりするつもりです

      ここまで読んでの感想やアドバイスなどがありましたらぜひお書きください



    • 32 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      六花は、縄打たれた。

      「ましろちゃん…絶対帰ってくるって信じとるから…!」

      ましろは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。

      ましろはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。



    • 33 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ましろの十六の妹、麻弥も、きょうは姉の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る姉の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく姉に質問を浴びせた。

      「一体何があったんですか!?」

      「なんでも無いよ。」

      ましろは無理に笑おうと努めた。

      「商店街に用事を残して来たんだ。またすぐ商店街に行かなければならないから、あす、おまえの結婚式を挙げるよ。早いほうがよいだろうし。」

      麻弥は頬をあからめた。

      「フヘヘ…明日でも全然構いませよ」

      「うれしいみたいだね。綺麗な衣裳も買って来たよ。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来て。結婚式は、あすだって。」



    • 34 名前:匿名スタッフさん ID:2NmQ3NGM[] 返信

      珍しい絡みが見れそうで楽しみ!原文が読みやすい(文学知らんけど)から文体はそのままでいいんじゃないですかね。テンポもいいですし。



    • 35 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      >>34

      確かに原文は読みやすいですしテンポもいいですよね。
      中学の教科書にも載ってるぐらいですし。
      改めて読んでみてさすが太宰治と思いました。

      今のところssというよりも小説になっているので独自のセリフや会話をどんどん入れていくつもりです。



    • 36 名前:匿名スタッフさん ID:0YzdmZTM[] 返信

      ましろがメロス役なのは自分的には妙にしっくりきてしまっていて、面白いですw
      なにも聞かずに友人を人質にしてしまったりするちょっと強引というか…自分勝手さがなんとなくしっくりきているのか…
      頑張ってください!



    • 37 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ましろは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。

      眼が覚めたのは夜だった。ましろは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、

      「少し事情があるから、結婚式を明日にしてくてください。」

      と頼んだ。

      婿のますきは驚き、

      「それはいけないな。こっちは未だ何の仕度も出来ていないんだ。葡萄の季節まで待ってくれよ。」

      と答えた。

      ましろは、

      「待つことは出来ません。どうか明日にしてください。」

      と更に押してたのんだ。

      婿のますきも頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。



    • 38 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      本日はここまでです
      また明日!



    • 39 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      少し日が空いてしまいましたが、今日からまた更新していきます



    • 40 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、ドラムの神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。

      祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。

      ましろも、満面に喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。



    • 41 名前:匿名スタッフさん ID:kODdmNDR[] 返信

      >>40
      ドラム…ドラム!?



    • 42 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。

      ましろは、
      (一生このままここにいたい。この佳い人たちと生涯暮して行きたい。)
      と願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。

      ましろは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。
      (ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう。)
      と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。



    • 43 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ましろほどの女にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、

      「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠るよ。眼が覚めたら、すぐに商店街に出かける。大切な用事があるんだ。私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無いよ。おまえの姉の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事。おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならないよ。おまえに言いたいのは、それだけ。おまえの姉は、たぶん偉い女なのだから、おまえもその誇りを持っていて。」

      花嫁は、夢見心地で首肯いた。

      「フヘヘ…分かりました。」



    • 44 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ましろは、それから花婿の肩をたたいて、

      「仕度の無いのはお互さまです。私の家にも、宝といっては、妹と羊だけ。他には、何もありません。全部あげます。もう一つ、ましろの妹になったことを誇ってください。」
       

      「ああ、誇りますとも!それから、妹さんを絶対に幸せにしてみせますよ!」

      花婿は揉み手して、てれていた。

      ましろは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。



    • 45 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      本日はここまでです

      >>40
      ささやかなネタを入れてみました



    • 46 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。

      ましろは跳ね起き、

      「南無三、寝過しちゃった、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。きょうは是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せなきゃ。そうして笑って磔の台に上ってやるんだから。」

      ましろは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、ましろは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。



    • 47 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      (私は、今宵、殺される。殺される為に走るんだ。身代りの友を救う為に走るんだ。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るんだ。走らなければならない。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さようなら、ふるさと。)

      若いましろは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。

      「えい!えい!立ち止まるな!」

      と大声挙げて自身を叱りながら走った。



    • 48 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。

      ましろは額の汗をこぶしで払い、

      「ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。妹たちは、きっと佳い夫婦になってくれる。私には、いま、なんの気がかりも無い筈。まっすぐに王城に行き着けば、それでいいんだ。そんなに急ぐ必要も無いよね。ゆっくり歩こう。」

      と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな持ち歌をいい声で歌い出した。

      「今♪空模様~♪涙でも~♪夢を見るのは止めたくない~♪」



    • 49 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、ましろの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。

      彼女は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。

      ましろは川岸にうずくまり、女泣きに泣きながらゼウス(>>51)に手を挙げて哀願した。

      「ああ、鎮めてください、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈まないうちに、王城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」



    • 50 名前:匿名スタッフさん ID:mNjYxMWI[] 返信

      最中



    • 51 名前:匿名スタッフさん ID:5OWM1OWM[] 返信

      >>50
      もなかみ様……。笑
      (最中み,もな神)



    • 52 名前:匿名スタッフさん ID:5MWU0MTU[] 返信

      ZEUS(最中)は草



    • 53 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      濁流は、ましろの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今はましろも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。

      ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。ましろは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、モナ神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。

      「あまりにも可愛そうモナね…助けてあげるモナ。」

      押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。ましろは馬のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。



    • 54 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊(>>55、>>56、>>57)が躍り出た。



    • 55 名前:匿名スタッフさん ID:mNjYxMWI[] 返信

      丸山



    • 56 名前:匿名スタッフさん ID:5OWM1OWM[] 返信

      確か追い剥ぎだったような気がするから
      香澄



    • 57 名前:匿名スタッフさん ID:2NmQ3NGM[] 返信

      赤メッシュ



    • 58 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「待ちなさい!」

      「何をするんですか。私は陽の沈まないうちに王城へ行かなければならないんです。放してください。」

      「ところがどっこい、この手を~♪放さないから~♪。持ちもの全部を置いて行って。」

      「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから王にくれてやるんです。」

      「その、いのちが欲しいんだよ。」

      「さては、王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたんですね。」

      山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。ましろはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、

      「気の毒だけど正義のためです!」

      と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者(>>59、>>60)のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。



    • 59 名前:匿名スタッフさん ID:5MWU0MTU[] 返信

      かのちゃん



    • 60 名前:匿名スタッフさん ID:yNDA0YWQ[] 返信

      りんりん



    • 61 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      「ふぇぇ~逃がしちゃったよ~」

      「丸山ァ!何やってんだァ!」

      「白金ァ!お前だって何もしてねえだろァ!」

      「まあまあ、2人とも落ち着いてください。」

      「これじゃモカ王に怒られちゃうね…私たちも逃げよう。」



    • 62 名前:匿名スタッフさん ID:zMmYyYTV[] 返信

      >>61
      丸山とりんりんが山賊ってのがあながち間違いでない気がしてきた…



    • 63 名前:匿名スタッフさん ID:mOTQ2Nzk[] 返信

      本日はここまでです

      この先はうじうじするメロス=ましろの葛藤シーンが長々と続きますのでお楽しみに



    • 64 名前:匿名スタッフさん ID:jODEzOWR[] 返信

      りんりんが山賊←かわいい
      山賊白金ァ「丸山ァ!」←違和感ゼロ



    • 65 名前:匿名スタッフさん ID:0YzdmZTM[] 返信

      山賊丸山ァと白金ァは草
      こいつらどこでも仲良いな



    • 66 名前:匿名スタッフさん ID:mNjYxMWI[] 返信

      棍棒奪われたのは丸山だな



    • 67 名前:匿名スタッフさん ID:1MmMwNzh[] 返信

      一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、ましろは幾度となく眩暈を感じ、

      「これじゃまずい。しっかりしなくちゃ」

      と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上る事が出来ぬのだ。



    • 68 名前:匿名スタッフさん ID:1MmMwNzh[] 返信

      天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。

      「ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たましろ。真の勇者、ましろ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならないんだ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしく王の思う壺になっちゃう」

      と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。



    • 69 名前:匿名スタッフさん ID:jZjIzMTA[] 返信

      >>68
      さりげなく王の口調にモカっぽさが出てるw



    • 70 名前:匿名スタッフさん ID:1MmMwNzh[] 返信

      身体疲労すれば、精神も共にやられる。

      「もう、どうでもいい。」

      という、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。

      「私は、これほど努力したんだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たんだ。動けなくなるまで走って来たんだ。私は不信の徒じゃ無い。ああ、できる事なら私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。」



    • 71 名前:匿名スタッフさん ID:1MmMwNzh[] 返信

      「けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたんだ。私は、よくよく不幸な女だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。」



    • 72 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「六花よ、ゆるして。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友だった。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているよね。ああ、待っているよね。ありがとう、六花。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだから。六花、私は走ったよ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じて!」



    • 73 名前:匿名スタッフさん ID:2NmQ3NGM[] 返信

      読んでて盗賊の下り以外ほぼ何も覚えてないことに気付いた



    • 74 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「私は急ぎに急いでここまで来たんだよ。濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駈け降りて来たんだ。私だから、出来たんだ。ああ、この上、私に望み給わないで。放って置いて。どうでも、いい。私は負けたんだ。だらしが無い。笑って。」

      「王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私は王の言うままになっている。私は、おくれて行くと思う。王は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するんだ。そうなったら、私は、死ぬよりつらい。」

      「私は、永遠に裏切者なんだ。地上で最も、不名誉の人種なんだ。」



    • 75 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「六花ちゃん、私も死ぬよ。君と一緒に死なせて。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがり?」

      「ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びようか。村には私の家が在る。羊も居る。妹夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろうし。」

      「正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。人を殺して自分が生きる。それが人間世界の定法だし。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者。どうとも、勝手にして。やんぬる哉。」

      ――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。



    • 76 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      ふと耳に、潺々、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々と、何か小さく囁ながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにましろは身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。

      「歩ける。行こう。」

      肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。

      「日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるんだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるんだ。私は、信じられている。私の命なんかは、問題じゃない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られない。私は、信頼に報いなければならない。いまはただその一事。走れ! ましろ。」



    • 77 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢。悪い夢。忘れてしまおう。五臓が疲れているときは、ふとあんな悪い夢を見るんだ。ましろ、あなたの恥じゃない。やはり、あなたは真の勇者だよ。再び立って走れるようになったじゃはないか。ありがたい!」

      「私は、正義の士として死ぬ事が出来る。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってください、モナ神よ。私は生れた時から正直な女だった。正直な女のままにして死なせて下さい。」



    • 78 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      路行く人を押しのけ、跳ねとばし、ましろは黒い風のように走った。野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。一団の旅人(>>79)と颯っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。



    • 79 名前:匿名スタッフさん ID:3NjM5YmQ[] 返信

      はぐみ



    • 80 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「いまごろは、あの女の子も、磔にかかっているんだろうね。」

      「ああ、その女、その女のために私は、いまこんなに走っているんだ。その女を死なせちゃいけない。急げ、ましろ。おくれちゃならない。愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるんだ。風態なんかは、どうでもいい。」

      ましろは、いまは、ほとんど全裸体であった。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、商店街の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。

      >>81「ああ、ましろ様。」

      うめくような声が、風と共に聞えた。

      「誰ですか。」

      ましろは走りながら尋ねた。



    • 81 名前:匿名スタッフさん ID:xMjk1N2Q[] 返信

      薫さんでお願いします!



    • 82 名前:匿名スタッフさん ID:mMDQ1ZWZ[] 返信

      犬「解せぬ」



    • 83 名前:匿名スタッフさん ID:xMjk1N2Q[] 返信

      >>82
      読み直して吹いたw



    • 84 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「薫さ。貴方のお友達六花様の弟子だよ。」

      その若い役者も、ましろの後について走りながら叫んだ。

      「もう、駄目だよ。むだなのさ。走るのは、やめてくれ。もう、あの方を助けることは出来ないよ。」

      「いや、まだ陽は沈みません。」

      「ちょうど今、あの方が死刑になるところさ。ああ、君は遅かった。うらみを言うよ。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」

      「いや、まだ陽は沈みません。」

      ましろは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。



    • 85 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「やめてくれ。走るのは、やめてくれ。いまは君の命が大事さ。あの方は、あなたを信じて居たんだ。刑場に引き出されても、平気でいた。王様が、さんざんあの方をからかっても、ましろは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子だった。」

      「それだから、走るんだ。信じられているから走るんだ。間に合う、間に合わぬは問題じゃないんだ。人の命も問題じゃないんだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているんだ。ついて来て! 薫さん。」

      「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わないものでもない。走るがいい。」



    • 86 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、ましろは走った。ましろの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。

      陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、ましろは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。



    • 87 名前:匿名スタッフさん ID:1ZWVjNjA[] 返信

      >>76
      タイトル回収アツい



    • 88 名前:匿名スタッフさん ID:0YzdmZTM[] 返信

      あぁ…っ頑張れ、ましろ…!!



    • 89 名前:匿名スタッフさん ID:xMjk1N2Q[] 返信

      DaylightのMVが頭の中で再生される…!



    • 90 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      >>89
      復活シーンからDaylight流れてそうですね
      意外と夕焼けとマッチしそう
      「走る~♪私は~♪」

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、ましろは走った。ましろの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、ましろは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。

      「待って。その人を殺さないで。ましろが帰って来ました。約束のとおり、いま、帰って来ました。」

      と大声で刑場の群衆にむかって叫んだつもりであったが、喉がつぶれて嗄れた声が幽かに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。すでに磔の柱が高々と立てられ、縄を打たれた六花は、徐々に釣り上げられてゆく。ましろはそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、

      「私です、刑吏! 殺されるのは、私です。ましろです。彼女を人質にした私は、ここにいます!」

      と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、齧りついた。群衆(>>91、>>92)は、どよめいた。



    • 91 名前:匿名スタッフさん ID:mMDQ1ZWZ[] 返信

      セリフどころかアイコンもなかった若者りみりん再登場チャンス
      というわけで りみりん



    • 92 名前:匿名スタッフさん ID:yMGQ5NTM[] 返信

      ちさと!



    • 93 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      アイコンとセリフの無かったりみやつくしのサイドスト―リーは後々書くつもりです
      もちろんこの二人以外の話も書きます

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      「あっぱれだよ。」

      「ゆるしてあげて。」

      と口々にわめいた。六花の縄は、ほどかれたのである。

      「六花ちゃん。」

      ましろは眼に涙を浮べて言った。

      「私を殴って。ちから一ぱいに頬を殴って。私は、途中で一度、悪い夢を見たんだ。君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いから。殴って。」

      六花は、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くましろの右頬を殴った。殴ってから優しく微笑み、

      「ましろちゃん、私を殴って。同じくらい音高く私の頬を殴って。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちょっとだけ君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴らへんかったら、私は君と抱擁できん。」

      ましろは腕に唸りをつけて六花の頬を殴った。

      「ありがとう、友よ。」

      二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。



    • 94 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。暴君モカは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。

      「おまえたちの望みは叶ったよ~。おまえたちは、わたしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかったのだ~。どうか、わたしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わたしの願いを聞き入れて、おまえたちの仲間の一人にしてほしい。」

      どっと群衆の間に、歓声が起った。

      「万歳、王様万歳。」
       
      ひとりの少女(>>95)が、緋のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。



    • 95 名前:匿名スタッフさん ID:mNjYxMWI[] 返信

      あこちゃん



    • 96 名前:匿名スタッフさん ID:xNWFhZjl[] 返信

      メロスになっとるぞ



    • 97 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      「ましろちゃん、あなたは、まっぱだかじゃない。早くそのマントを着んと。この可愛い娘さんは、ましろの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいんだよ。」

      勇者は、ひどく赤面した。

      (古伝説と、シルレルの詩から。)

      ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

      底本:「太宰治全集3」ちくま文庫、筑摩書房
         1988(昭和63)年10月25日初版発行
         1998(平成10)年6月15日第2刷
      底本の親本:「筑摩全集類聚版太宰治全集」筑摩書房
         1975(昭和50)年6月~1976(昭和51)年6月
      入力:金川一之
      校正:高橋美奈子
      2000年12月4日公開
      2011年1月17日修正
      青空文庫作成ファイル:
      このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。



    • 98 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      >>94、>>96
      最後の最後でミスりましたすいません…

      訂正:ひとりの少女(>>95)が、緋のマントをましろに捧げた。ましろは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。



    • 99 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      以上で本編は終了です
      ここまで読んでいただきありがとうございます
      先ほども書きましたがサイドストーリーを幾つか書いていきます
      まだまだお楽しみください

      キャラ一覧(登場順)
      (メロス)
      (メロスの妹)
      (メロスの妹の花婿)
      (セリヌンティウス)
      (若い衆、群衆1)
      オーナー(老爺)
      (賢臣アキレス)
      (暴君ディオニス)
      (神ゼウス)
      (山賊1)
      (山賊2)
      (山賊3)
      (山賊4)
      (山賊5)
      (旅人)
      (フィロストラトス)
      (群衆2)
      (少女)



    • 100 名前:匿名スタッフさん ID:2YjE5OTU[] 返信

      今までスルーしてたけど、ましろの裸体…
      ウッ!ふぅ…(すみません)



    • 101 名前:匿名スタッフさん ID:wMDgwYzE[] 返信

      〈サイドストーリーその1〉賢臣の悲劇

      「モカ王様!これ以上罪のない人たちを殺すのはやめてください!」

      「なんだと~。私はただ私のパンを勝手に食べた者が分からないから手当たり次第に処刑しているだけだよ~。」

      「そ、そんな理由で処刑を!?」

      「ははーん。さてはお前が犯人だな~。」

      「ち、ちがいます!そもそも、寝ぼけたモカ王が無意識に食べたに決まってます!」

      「そんなことがあってたまるか~。連れていけ~!」

      「い、いやだ~!死にたくな~い!助けて~!」

      こうして賢臣は処刑された。もちろんパンを食べたのはモカ王である。



    • 102 名前:匿名スタッフさん ID:0YzdmZTM[] 返信

      理不尽すぎるw



    • 103 名前:匿名スタッフさん ID:xNWFhZjl[] 返信

      でももし、その無くなったパンがチョココロネだっら……



    • 104 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      〈サイドストーリーその2〉チョココロネの慟哭

      「えへへ~。今日は山吹ベーカリーのチョココロネ買い占めちゃった~。」

      「やっぱり山吹ベーカリーは王様御用達のお店だから味は最高!おいひぃ~。」

      「おやおや~。チョココロネをたくさん持っているね~。」

      「あ!モカ王様!こんにちは。そうなんです。じつは山吹ベーカリーで買い占めちゃったんです。」

      「へえ~。実は私もさっき山吹ベーカリーに寄ったんだよね~。ちょうどチョココロネだけ売り切れだったんだー。チョココロネ食べたかったんだけどな~。」

      「ひ、ひとつあげますよ。」

      「まあまあ、そんなこと言わずに~。王様権限発動~!持ってけ~!」

      「わ、私のチョココロネ~!全部取られちゃった~!」

      「ではさらばだー」

      「そ、そんな~。」

      「あの、すいません。この商店街に何かあったんですか?二年まえに此の商店街に来たときは、夜でも皆が歌をうたってまちは賑やかであった筈なんですけど。」

      「うわ~ん!な、何も知りません~!」

      りみは夜の商店街に駆け出していった。チョココロネはモカ王によって美味しく食べられたという。



    • 105 名前:匿名スタッフさん ID:wMjU4ODI[] 返信

      ましろと六花が殴り合う姿想像して吹いたわww
      「ましろは腕に唸りをつけて六花の頬を殴った。」←これでダメだった



    • 106 名前:匿名スタッフさん ID:yNzgyNmN[] 返信

      >>105

      ましろと六花が殴りあってるのを想像したら笑えますね。もし二人の安価が彩と友希那だったら確実にネタになってました。(中の人的に)



105件の返信スレッドを表示中
返信先: 【SS】走れ>>2【安価】


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